労災保険法の身体障害と神経症状の等級 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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労災保険法の身体障害と神経症状の等級

最高裁判決昭和55年3月27日、障害等級決定取消請求事件
民集34巻3号217頁、判例タイムズ419号67頁

【判示事項】 身体の部位の機能障害とこれより派生した神経症状が医学的にみて1個の病像と把握される場合と労働者災害補償保険法施行規則14条3項

【判決要旨】 身体の機能障害とこれより派生した神経症状が医学的にみて1個の病像と把握される場合には、右の機能障害と神経症状を包括して1個の身体障害と評価し、その等級は前者の障害等級によるべきものであり、労働者災害補償保険法施行規則14条3項の規定により等級を繰り上げるべきものではない。

【参照条文】 労働者災害補償保険法15条
       労働者災害補償保険法施行規則14条3項

労働者災害補償保険法
第十五条  障害補償給付は、厚生労働省令で定める障害等級に応じ、障害補償年金又は障害補償一時金とする。
2  障害補償年金又は障害補償一時金の額は、それぞれ、別表第一又は別表第二に規定する額とする。

労働者災害補償保険法施行規則
(障害等級等)
第十四条  障害補償給付を支給すべき身体障害の障害等級は、別表第一に定めるところによる。
2  別表第一に掲げる身体障害が二以上ある場合には、重い方の身体障害の該当する障害等級による。
3  左の各号に掲げる場合には、前二項の規定による障害等級をそれぞれ当該各号に掲げる等級だけ繰り上げた障害等級による。ただし、本文の規定による障害等級が第八級以下である場合において、各の身体障害の該当する障害等級に応ずる障害補償給付の額の合算額が本文の規定による障害等級に応ずる障害補償給付の額に満たないときは、その者に支給する障害補償給付は、当該合算額による。
一  第十三級以上に該当する身体障害が二以上あるとき  一級
(注)第13級~第9級について、最も重い等級より1級繰り上げる(最高で第8級)。
二  第八級以上に該当する身体障害が二以上あるとき   二級
(注)第8級~第6級について、最も重い等級より2級繰り上げる(最高で第4級)。
三  第五級以上に該当する身体障害が二以上あるとき   三級
(注)第5級~第3級について、最も重い等級より3級繰り上げる(最高で第1級)。
4  別表第一に掲げるもの以外の身体障害については、その障害の程度に応じ、同表に掲げる身体障害に準じてその障害等級を定める。
5  既に身体障害のあった者が、負傷又は疾病により同一の部位について障害の程度を加重した場合における当該事由に係る障害補償給付は、現在の身体障害の該当する障害等級に応ずる障害補償給付とし、その額は、現在の身体障害の該当する障害等級に応ずる障害補償給付の額から、既にあった身体障害の該当する障害等級に応ずる障害補償給付の額(現在の身体障害の該当する障害等級に応ずる障害補償給付が障害補償年金であって、既にあった身体障害の該当する障害等級に応ずる障害補償給付が障害補償一時金である場合には、その障害補償一時金の額(当該障害補償年金を支給すべき場合において、法第八条の三第二項 において準用する法第八条の二第二項 各号に掲げる場合に該当するときは、当該各号に定める額を法第八条の四 の給付基礎日額として算定した既にあった身体障害の該当する障害等級に応ずる障害補償一時金の額)を二十五で除して得た額)を差し引いた額による。