音楽の著作物の定義 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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第1 音楽の著作物の定義

音楽の著作物とは、思想又は感情を創作的に表現したものであって、音楽の範囲に属するものをいう(著作権法2条1項1号、第10条1項2号)。

音楽の著作物は、旋律・和声・節奏(リズム)・形式の4要素からなると解されている(東京地判昭和43・5・13[ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー事件]、中山信弘『著作権法』32頁)。

なお、これに対して、音楽の著作物は、メロディ・リズム・ハーモニーの3要素からなると解する説として、渋谷達紀『著作権法』32頁。

歌詞を伴う音楽の著作物については、音楽の著作物である曲と、言語の著作物である歌詞から結合著作物である(渋谷達紀『著作権法』32頁)。結合著作物とは、著作者各人が個別に創作した、通常は一体として利用されることを目的とした、種類の異なる複数の著作物の結合である(渋谷達紀『著作権法』100頁。結合著作物の他の例として、挿絵(美術の著作物)付きの絵本(言語の著作物)が挙げられる。)。

作曲者、作詞者は、音楽の著作物の著作者であると解されている。

音楽の著作物の用語は著作権法69条(商業用レコードへの録音等)にも現れるが、歌詞も含まれると解さないと、意味がなくなるからである(加戸守行『著作権法逐条講義(5訂新版)』119頁、中山信弘『著作権法』72頁、渋谷達紀『著作権法』32頁)。

また、作曲家が演奏権(著作権法22条)を行使することが可能となること、作詞家も日本音楽著作権普及協会(JASRAC)などによる音楽の著作物の集中管理制度を利用できることがある(渋谷達紀『著作権法』32頁)。

なお、歌詞だけを取り出せば、言語の著作物(著作権法10条1項1号)となる(中山信弘『著作権法』72頁)。