4月7日火曜日、退院の時に着せる、病衣に似た形の寝間着と、靴下と、ダウンのジャンパーを持ってでかけました。
この病院へ来るときは、普通の服を着せてきたのですが、もう普通の服を着せるのは難しいだろうと思って。
夫の服は、大抵かぶって着るもので、前開きのものはありません。
下着もTシャツを着せていました。
腕がかなり固くなっていると思ったし、介護タクシーの人の薦めもあって、簡単に着れるものにしました。
介護タクシーは、来るときは車いすで来ましたが、ずっと寝かせきりなので、おそらく座ることができなくなっているだろうし、できたとしても長時間は無理なので、ストレッチャーに載せてもらうよう頼んであります。

夫は目をぱっちり開けていましたが、呼吸音がひどく、痰が絡んでいました。
幸い、熱は出ていませんでした。
先週一旦外したCVカテーテルがまたつけられていました。
まぁ、栄養がとれるのはいいけど、また中心静脈栄養か..と思ってしまいました。
動かすのが怖いです。

おむつ替えの時間になり、ヘルパーさん達が来て、廊下に出されました。
その部屋の4人全部のおむつを替え終わるまで、家族は部屋に入ることができません。
各カーテンを閉めてやっているので、当人が終わればいいんじゃないかと思いますが、そうでもないようです。
かなり長く待たされます。

外は小雨が降ってものすごく寒かったですが、私は、気晴らしに外へ出て、広大な庭の桜を見に行きました。
ここは山間部で気温が低いせいか、桜はまだ散っていなくて、美しい姿を見せてくれていました。

部屋に戻ってみてびっくり!
夫は、エアウェイを抜いてしまい、更に、顔や頭を掻きむしって血が出ていました。
枕の周囲には、血と、剥がれ落ちた垢が散乱していました。
私がいるときは、ミトンを外しているのですが、さっきおむつ替えで出されたとき、そのままにして出てしまったのです。

反対側のベッドの人のところに、看護師さんが二人いて、なにか処置をしていました。
私が、あらーと声を上げたので、振り返って、ミトンは?!!となじるように言いました。
まぁ、私がミトンをしないで部屋を出てしまったのがいけないんでしょうけど、それにしても、かゆいから掻いたので、かゆくても掻けない状態にしておくことが、いかに非人間的かと改めて思いました。

熱もでていないし、昨日の月曜はお風呂の日なので、入れてもらえたと思っていました。
それにしては、この垢の出方はおかしいと思い、聞いてみましたら、この部屋は月木ではなく、水金に変更になったのだそうです。
明日は入れてちょうだいよと心の中で叫びました。

胸や首を手のひらでずっとさすっていました。
他にはなにもやれることがありません。
脚をマッサージしたかったけど、CVカテーテルが入っている状態では、なんだか怖くてできませんでした。
先週金曜日、姉が口内炎用の軟膏を塗ってくれたので、口内炎は治っていました。
唇が乾いてカサカサして皮がめくれていたので、リップクリームを隠れて塗りました。

帰ろうね、もう少しで帰れるからねと言ったら、夫は頷いてくれました。

外に出て、あまりの寒さに震えました。
明日はもっと寒くなるとのこと。
退院予定の明後日は、少し気温が上がるようですが、いくら毛布でがっちりガードしても、あの薄い病衣一枚では寒いだろうと、いきなり心配になりました。

とはいえ、どこにも肌着を売っていそうなところはありませんでした。
そもそもお店というものがないところです。
滞在するホテルのある街ならあるかと思ってそのまま電車に乗りました。
それから探し回って、やっと見つけて、前開きのシャツを買いました。


4月8日水曜日、ホテルの外に出てみると、雪!でした。
病室へ着いてみると、夫は、口で呼吸していました。
それでも熱はなさそうなので一安心です。
顔は、皮膚がボロボロ剥げてあちこちにくっついた状態でした。

看護師さんに言ったら、あら、まだだったのかしらと言いながら、おしぼりタオルを持ってきて顔をゴシゴシ拭きました。
まぶたの上も構わずゴシゴシ...
やめてくださいと言いそうになりましたが、今までもずっとこうして来たんだろうし、もうここから出るんだからと思って、言葉を飲み込みました。

顔を拭いただけで終わりだったので、頭も拭いてやりたいので、タオルを下さいと言って、お湯で絞ったタオルをもらいました。
頭拭くからね~と言ったら、夫は頭を枕から持ち上げて拭きやすくしてくれました。

今日はお風呂の日なのに、入れてもらえませんでした。
看護師さんに、具合が悪いんですか?と聞いたら、いえ、悪くないですけど、様子を見ていますとの答えでした。
何?何の様子を見るの??
お風呂に入れなかった時してくれるという清拭も、私がいるときにはありませんでした。

口腔は、毎日きれいにしてもらっているんですか?と聞いたら、あ、今日は、歯科医の先生がきれいにしてくれたので、大丈夫ですよとの答えです。
そういうことを聞いたのではないんだけど..

昨日も今日も、リハビリのスタッフ達は全く来ませんでした。
いつから入っていないのか..。
おそらく、退院すると言った後からは入っていないんだろうと思います。
何なんだ、この病院..

夫に、明日退院するからねと言ったら、はっきりと頷いてくれました。


4月9日木曜日、昨夜の雨も止んで、わずかに日が射しています。
受付に寄ると、精算は11時頃になるとのこと。
とりあえず病室に行ってみると、夫はぱっちり目を開けて、元気そうでした。

10時20分頃、看護師さん達が着替えに入って来ました。
出発は11時半なので、おむつはその前にもう一回見るとのことでした。

11時に送迎バスで到着する姉を玄関まで迎えに行き、病室へいてもらうことにして、私は入院費を精算しました。
38日間の入院で、総費用246,386円でした。

11時半少し前に、介護タクシーの人がきて、ストレッチャーに載せてくれました。
載せる前に、ダウンのジャンパーを着せました。
腕が通らなければ、上からかけるだけでもと思ったのですが、なんとか着せることができました。
これで、肩も寒くありません。

心中はともかく、表面的には穏やかに対応してきたので、円満に、いろいろな人から挨拶をもらいました。
特に仲良しになったヘルパーさんからは、温かい言葉をもらいました。
K先生にもお世話になりましたと挨拶したのですが、先生は、あ、とか言って、ちょっと首を下げただけでした。
看護師のUさんとOsさんが玄関の外まで見送りしてくれて、車が見えなくなるまで手を振ってくれました。

こうして私たちは、この病院を脱出しました。
夫は入院したときと比べものにならないほど、衰弱しきっています。
病院を抜けるとき、桜を見せたかったのですが、目を閉じてしまって、見せることができませんでした。

夫は今どん底です。
一からの仕切り直しです。
元に戻れることを信じて、私たちの街へ帰ります。
桜


少し早めに着いたのですが、O先生が早速来てくれて、今後の方針とかを確認してくれました。
CVカテーテルが入っているのを見て、それなら、これをそのまま使おうということになりました。
エアウェイが入った状態で、経鼻管栄養のチューブを入れると、両方の鼻穴を使うことになるので、とりあえずエアウェイを日中抜いておけるかどうか見ようということになりました。

病室へ落ち着いて早速エアウェイは抜かれました。
夫は、すっきりした顔をしています。
目もぱっちり開けて、元気そうでした。

昨日10日に行ってみると、夜もエアウェイを抜いたままでやってみたけど、大丈夫なんじゃないかなとのことです。
私は、K先生にさんざん脅かされたので、舌根が沈下して、今にも呼吸が止まるのではと恐れていて、エアウェイは必須だと思っていたのですが、考えてみると、前の急性期病院では必要ないものでした。
もう少し様子を見て、経鼻管栄養は来週の月曜から始めて下さるそうです。

今日もこれから行ってきます。
近いって、なんて素晴らしいことでしょう..。
気持ち的にとっても楽になりました。






          
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