熱はすっかり下がって一安心ですが、時々痰が絡んだような咳をします。
食事にかなり時間がかかるようになりました。
口に入れて、噛んで、そのまま忘れたように口の中に貯めておくことがでてきました。

夫は、もうほとんどのことができなくなっています。
これまでは、おいしい食べ物は、おいしいと感じてよく食べてくれていたのですが、それも怪しくなってきました。
食べる楽しみだけは、残って欲しいと思っていますけど、どれだけ維持できることやらです。


なんとかまだ立ち上がらせることはできます。
でも、歩くのが難しくなってきています。
両側から支えても、足を前に踏み出すことが本当に難しくなりました。
足が竦んでしまって、小刻みにしか歩けません。
支えていないと立っていることもできません。

生活自体は変えていません。
毎朝ヘルパーさんにきてもらって、お風呂に入れ、その後、二階まで送ってもらっています。
週2回は、マッサージをしてもらいます。その時はマッサージ師の人に送ってもらいます。

夜もヘルパーさんが来てくれて、階段を下ろし、歯を磨いて、パジャマに着替えさせ寝かせるまで手伝ってもらっています。

二人がかりならば、多少大変になったとはいえ、これらのことが普通にできています。


困ったのが、私一人になったときです。
なんとか一人でもやっていけるようにと、車いすを借りました
車いすに乗せてしまえば、移動は簡単です。
でも、椅子から車いす、車いすから椅子への移乗がどうしてもうまくいきません。
何度も床に落としてしまい、その度に助けを呼びました。
それがたまにではなく、連日のようになってきました。

加えて、トイレで、自分で立っていてくれないので、ズボンの上げ下げが困難を極めます。
手すりはつけてあるのですが、手すりを持って自分の体を支えることがもうできません。
やむなく片手で支えて、片手でズボンを下ろそうとするのですが、支えきれずにやっぱり床に落としてしまいます。
便座の前に立たせているので、いったんは便座にお尻がつくのですが、私が引くのと反対方向へ力を入れるので、そのままずるずると落ちてしまうのです。

やっとの思いでここまで連れてきたのに..。
やっとの思いで車いすから立ち上がらせ、方向転換をして、便器の前に立たせられたのに..。
便器と壁の狭い隙間に横たわっている夫を見下ろしながら、自分が情けなくて悔しくて、涙がでました。
そうしたことが何度かあって、トイレに連れて行くのが恐怖になってきました。

私一人でトイレに連れて行くのはもう無理なのだと思いました。
ずっとヘルパーさんにいてもらうわけにはいきません。
一日の大半は私一人です。
これまで何度ももう無理だなと思い、その度になんとか乗り越えてきましたが、ここにきて、今度こそ、家での介護は限界かなと思いました。

私一人で、何もできない以上、ずっと食堂の座椅子に座らせっきりになってしまいます。
それなら、施設に入れて、ずっと車いすで放っておかれても、同じことだろうと思いました。

とはいえ、笑っちゃう位、全くその気になれない私です。
いい加減、往生したらいいのにと我ながら思います。


トイレに連れて行けないので、食堂で、尿取りパッドを交換で済ませることにしました。
その際、少しズボンが濡れていても、仕方がないと思うことにしました。
便が出ているときは、これはどうしようもないので、その時はヘルパーさんに来てもらうことにしました。
ケアマネさんが、そういう緊急の時だけ来てくれるヘルパーさんを手配してくれましたが、お泊まりデイの方に話したところ、全面的に面倒をみるつもりだからと、人員をやりくりして来て下さるそうです。


でもなぁ...。
トイレに連れて行って座らせる事ができれば、トイレで排泄をしてくれているのです。
これはいずれ改めて書くつもりでいますが、メマリーを中断しているせいか、このところ自然排便が多くなってきています。
トイレで排泄するのと、食堂に座ったまま便失禁するのと...。
何もわからなくなっているのかもしれませんが、さぞかし不快なことでしょう。
しかも、それが、私が連れて行ってあげられないばかりに....。

やっぱり、不快な思いはさせたくないと、必死に解決の道を探しました。
思いついたのが歩行器です。


歩行器
画像はお借りしました


歩行器はブレーキがついていないので、危ないですよと言われたのですが、私が後ろから抱きかかえるようにして補助すれば、なんとかなるだろうと思って借りてみました。

この歩行器は高さが調節できるので、肘を曲げて腕を黒い部分(ハンドル?)に乗せられる位に上げました。
その場で回転できるので、小回りが効いて便利です。
早速トイレに連れて行ってみました。

食堂の座椅子から立ち上がらせた時、車いすの場合は、体の向きを90度変えなくていけなくて、その時に足がもつれて倒れてしまっていました。
歩行器の場合、立ち上がった状態で、そのままハンドルを掴ませることができるので、格段に楽になりました。
歩くとき、体が傾いて、支えるのに全力を要しますが、ある程度歩行器の方が体重を受け持ってくれるので、倒れることはありません。

トイレに入って、便器ぎりぎりまで歩行器を進め、そこで歩行器毎、方向を転換させました。
危なっかしいながらも、なんとかできました。
更に、立ったまま、ズボンを下ろすことができました。
ハンドルから手を離して、私の手に握り変えるのは無理そうなので、そのまま便座に座らせました。
手前に座ってしまったけど、歩行器をどけて一旦立ち上がらせ、改めて座り直しをさせました。
うまくいきました。


体中から汗が噴き出て、腕も背中も腰も筋肉が悲鳴を上げていますけど、なんとかなりました。
これでしばらくの間は、夫をトイレに連れて行ってあげることができそうです。

できなくなったら...
それはその時また考えようと思います。










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