お泊まりデイから戻った夫の着替えをしているとき、私は、夫の足のあまりの冷たさに愕然としました。
氷のようなという表現がありますが、まさしく氷のようでした。
触ると、こちらの熱が奪われるような冷たさでした。

夫の足は以前から外反母趾気味だったのですが、右足の親指の付け根の骨が、異様な位突き出していました。
そして突き出た部分が暗い赤紫色に変色していました。何とも言えない病的な色でした。
しかも、親指は不自然に曲がって、次の指に重なっていました。

足湯を使わせてあげるというのは思いつきませんでした。
ただ私の手のひらで、こすって暖めてやる以外どうしていいかわかりませんでした。


あるブログで、夫の足にそっくりな写真を掲載なさっているのを見つけました。
レビー小体型認知症のお母様を介護なさっている方のブログでした。
目を皿のようにして、その方のブログ、そしてそれについているコメントを読みました。

私が理解したところによると、レビーの人は自律神経の失調があり、手足が冷たくなる人が多い、褥瘡ができる可能性もあるということでした。
また骨の変形があり、足の指が重なってしまうことがあるのを知りました。

「褥瘡」という言葉自体初めて知りました。
「床ずれ」ならなんとなく知っていましたが、寝たきりの人に起こるものという位の認識しかありませんでした。


これまで夫に現れていた現象、薬に対しての過敏な反応、時々、空中に手を伸ばして何かをつまむような動作、何もないところを凝視していることがあること、親指が反対方向に反ってしまう手の指の変形、これら全てがレビー小体型認知症に現れる現象だということがわかりました。

夫はレビーなのでしょうか...。
ただこれまでの経過を見ていると、レビーとも言い切れないとも思いました。
アルツハイマー型の場合、その進行によっていくつかの段階に分けられたステージがあります。
それにほぼ合っているのです。
最初アルツハイマーで発症したけれど、後にレビーも発症してしまったのかもしれないと思いました。

何も確信はありませんでした。
主治医には、頭から否定されましたし、相談できる人が誰もいず、一人で抱え込んでいました。
でももしもレビーだった場合、下手すると取り返しのつかないことになると思い、レビーの可能性もあると考えて対処していかなければと思いました。



家に戻ってまもなくの12月中旬、けいれん発作を起こしましたが、明けて1月の中旬にもまた発作を起こしました。

主治医からまたデパ○ンを飲むように言われました。
身体的に何の問題もなかった頃でさえ、デパ○ンを飲んで数日すると、体が傾いたりふらついたり、具合悪そうな様子をしていたので、飲ませる気にはなれませんでした。
レビーかもしれないと思ってからは尚更でした。
その後も、2月と3月と月一回けいれん発作を起こしました。

アリセプトはその頃、5mgに減らしてもらっていましたが、5mgでも、もしレビーだったら多すぎると思って、なんとかしなければと焦燥感を感じていました。
3月になってやっと3mgに減らすことができました。
けいれん発作は、その後しばらく起きませんでした。
まぁ、偶然なのかもしれませんが..。


時々不穏になり介護拒否はありましたが、もう暴力を恐れる必要は全くなくなりました。
夫は、ちょっと指で突けば倒れてしまいそうな、そんな弱々しい体になってしまいました。

朝は自ら濡らした尿の洪水の中で目をさまし、ベッドから起き上がるのもなかなかできなくなりました。
お風呂に入っても、立ち上がることが出来ないときが増えていきました。

唯一お箸は使えたのですが、デイから戻った日は使えなくなっていました。
時間がかかるので、デイの方では介助で食べさせていたようです。
家に戻ってしばらくするとまた使えるようになるのですが、それもだんだんできなくなっていきました。


転げ落ちた坂道を振り返ると、そこには決して後戻りできない高い絶壁がそそり立っていました。
坂道の先には、救いのない絶望の平野が広がっていました。
これから夫はどうなってしまうのだろう...私は先の見えない不安に怯えていました。




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