震災から、早2年。

政治家達は、未だに『原発』の責任は誰にあるのか、押し付けあっている。

いつどんな形で起こるか分からない自然の脅威を、誰が予測出来る?

それより。

もっとしなくてはいけないことが、あるだろうに。

被災された方々へ、『国』としてもっと出来ることが、あるだろう。



あの日。

私は自転車を買って、自宅まで1時間かけて帰った。

幸い、道程は緩やかな下り坂だった。

道路は全く車が動かない大渋滞。

喧嘩をしているドライバー達。

お互いに譲ろうとしない。

この状態なら、譲っても目的地への到着時間は、変わらないのに。

その時は、規模をまだ把握していなかったが、

争いをしている場合では無いことは、察していた。



地震直後。

私はひどく冷静だった。

ダンナは出張で震源地から離れた場所に。

母も兄達も。

私よりも更に安全圏にいる。

私から連絡を取ろうとしなかった。

多数の人々が連絡を取ろうとして、

回線がパンク状態になるのは、分かっていたから。

各工場へは、内線も繋がらない。

停電が予測された。



心配なのは、にゃんこ達。

家具が倒れて下敷きになっていないか?

にゃんこ達のために、帰らないと。



駅に運行状態を確認しに行くと、翌朝まで全線運休とアナウンスされていた。

本社からの指示を、待つ。



本社の対応は遅かった。



自転車を買いに行くと、自転車屋さんは、すでに店じまい?

ドアが開かない。

だが、おじさんがいる。

別のドアを開けて、一番安い自転車を。

それでも2万近く。

ATMは機能していたので、なんとかなった。

ダメだったら、会社の人達に借りればいい。

手続きをしていたら、サラリーマンが店に入ってきた。

金額を聞いて諦め、徒歩で帰路へ。



連絡が取れなかった松ちゃんが、帰ってきていた。

松ちゃんは。

社用車で朝から日立の特約店さんを訪問していた。

地震が起きた時は、会社に戻る途中で、

道がでこぼこに揺れていた、と。

会社の人達はそれぞれ同方向ごとに社用車で帰路へついた。

新幹線組のめぐちゃんは、会社に泊まった。



ダンナと母から、電話が来て無事を確認した。

全然繋がらなくて、何度もかけた、と。



私は、会社の人達とは逆方向。

徒歩で帰路についている人達は、不思議と歩道での進行方向を揃えていた。

左側を。

特に焦らず、速度も皆一定。

自転車組も基本左側通行だが、数人右側通行を。

その数人は、殺気立っていた。

すれ違い様に舌打ちされる。

彼らは下り方面。

反対側を走れば、空いていたのだが、

周囲の状況が目に入っていないようだった。



登り方面で車が渋滞。

家族を迎えに行く為だろう。



非常時に。

人の奥底にある『本性』が現れる。



自宅マンションに着くと、エレベーターは止まっていた。

上階の家族がワンちゃんを抱えながら、お散歩の為に階段を下りてきた。

落ち着いている。



ドアを開けると、スコティッシュがリビングからこちらを見た。

不安そうな顔を。

抱き上げて、アメショを探す。

いない。

家の中は、本棚から本が数冊落ち、コート掛けが倒れ、食器棚の扉が開いただけ。

兄から地震対策で家具の転倒防止法を聞いていた。

兄、すげーっ。パンパンに入っている食器がひとつも落ちてない!

スコティッシュに、アメショを「探してきて」と頼むと、

各部屋を覗き、「いない」というような表情を。

鍵をかけ忘れていた窓が開いていた。

パニックを起こしてベランダに出た?

慌ててベランダに出て、名前を何度も小声で呼ぶ。

部屋の中も名前を呼びながら探す。



いない。泣きそうになる。



どこからか、唸り声が聞こえてきた。

名前を呼ぶと、唸り声が応える。



押し入れに、いた。

アメショのいつもの逃げ場所で、更に奥に入り込んでいた。

余程怖かったのだろう。

無理に出さず、アメショが落ち着くまでそのままに。



TVを付けると、火の海が映し出されていた。

海が火で揺れていた。

海岸沿いに、数百人の遺体が確認されている、と。



死者の数は一万を越える、と咄嗟に思った。

涙が溢れ出た。

苦しかっただろう、と。





そんな中で。

地震時の自らの行動を不謹慎な記事で、ブログアップする人も。

停電地域なら、情報が入らないかもしれないが…

いや、ブログアップ出来るなら、携帯でも被害状況は確認出来るだろう。



TVに映し出される火の海。

そんな中で、リハビリだとはいえ、ジムに行ってレッスンを受ける気分になど、ならなかった。

気分が落ち着いてからレッスンに行くと、

数人からなぜ来なかったのか聞かれた。

「そんな気分にならなかった」と答えると。

奇妙なものを見るような表情をした人がいた。





あるIRは、「万が一の時のために、レッスンで体力をつけましょう」と。



万が一の、その『瞬間』や『直後』に必要なのは、体力じゃない。

判断力と、精神力。



心の病にかかっている人は、ネガティブ思考かもしれないが。

恐らく、万が一の時、強い。

頭の中で、何度も『ネガティブ』をシミュレーションしている。

ネガティブ思考により『心の準備』が出来ている。

精神的ダメージは、少ない。