32249人。
平成20年度の自殺者数。

その中にうつ病患者は6490人。

講演会は『うつ病』の話だが、市側から特にうつ病からの自殺について重点をおいて欲しいと依頼があったとのこと。

私はうつ病までは発症していないが、ある理由から出席した。

32249。
漠然と数字で言われてもピンと来ないから、と、主治医はある例を取り上げた。

30年近く前の航空機墜落事故。
520人以上の死者。

一年間は、約52週間。

あの事故が毎週一度あっても、まだ足りない数の人数である、と。

私の中学の部活の後輩のお父さんは同じ航空会社のパイロットだった。

彼のお父さんは事故直後、部活中の後輩に会いに来た。
息子に今すぐ伝えたいことがある、と。
今後、自分もパイロットとして働いていく上で、
急にいなくなってしまう時が来るかもしれないと。

その覚悟と、男として自分の代わりに家族を頼む、というような話を、13歳の息子に伝えたらしい。

金網越しに、後輩は泣いていた。



去年の自殺者数は、平成20年度に比べれば、若干少ない。

その中に、うつ病を患った友人が一人含まれる。
4年間の闘病。

彼はその日早朝に出社し、PCを立ち上げていた。
最期の時まで仕事をしようとして、遺書も残さないまま、発作的に飛び降りたらしい。

私が彼に最後に会ったのは、おそらく発症直前。
テンション低く口数も少なく、何かがおかしいと思いつつも、
10年振り位に偶然会ったので、気まずいのかと…。

あそこで、もっと話をしていたら、彼の何かが変わったかもしれない。

今は、安らかに眠れているだろうか。

私達の中学時代、やはり校舎から飛び降りた生徒がいた。

彼が教室の黒板に遺した言葉は、

「15で死んだ男がいたことを覚えておいてくれ」

私は二人を忘れない。
これから先も、ずっと。