以前、私は大きく体調を崩し
一人で息子を看ていく自信を無くした時期があった
その時、偶然にも息子のショートステイ先に付属している入所施設で2名の空きが出たと知る
悩んだ末、入所施設への申し込みをお願いした。役所の方は申し込み人数は多いけれど、多分お宅の状況であれば通ると思いますよと言っていた
しかし申し込んだはいいものの、息子と離れて暮らすかと思うと寂しくて辛くて涙が溢れてくる毎日…
(息子とずっと一緒にいたい!でも、これは私のワガママなんだ…もしも急に私が倒れたり死んだりしたら息子はすぐに露頭に迷ってしまう…自分の感情に押し流されずに、息子がより良い介護を受けられる事を考えなくては…)
そう頭で理解しようとしても、寂しさと辛さは消せないもの…
心はもがきながらも、現実的な事は進めて行かねばならず、施設へ見学に行くことになる
施設へ行くと、息子が幼い頃からお世話になっていた看護師さんが看護師長をなさっていて、お顔を見たら涙が溢れてきた
まだコロナ禍の前の事だったので、毎日面会に来てもいいですよとか、お母さんと病院のお庭を散歩も出来るし、福祉タクシーで遠出をする方もいるのですよなど、教えてもらい、
「もし入所したらケアは私たちに任せて、お母さんはこうちゃんとの楽しい時間を過ごして下さいね」と言われ、当時はこの言葉には救われた
申し込みをしてから一ヶ月半後、「今回は選考から外れました」と連絡があった
ホッとしたと言うのが正直な気持ちだ…役所の方は勿論、息子のケアに入っている方たちも息子は入所するものだと思い込んでいたし、当然私もそうだと思っていた
それでも一ヶ月半、結果待ちしている間の辛かった事と行ったらトンデモなく、私は二度とこんな想いはしたくないと思い、施設への申し込みは暫くの間見合わせる旨を役所の方に伝えた
その頃には私の体調も何とか回復しつつあり、訪問看護の日数を増やす手立てや、訪問医がショートステイの受け入れ病院を探してくれたり、ヘルパーさんの事業所が医療的ケアの研修を始めたりで息子を在宅で看ていく自信に繋がったのが大きかった
今月、母一人で在宅介護している友人が、お子さんを施設へ入所させねばならぬ状況になった
訪問看護、訪問介護、ショートステイなどの福祉資源が現状に伴わなくなってしまったのが要因だ
彼女の葛藤は入所前から始まり、入所した後もずっと続いている
辛さはきっとその状況に置かれてみないと全ては分からないにしても、うかがい知る事はできる
一人の時には泣いて泣いて泣いているのだろう…でも現状を受け入れようと辛抱している彼女
そして今を懸命に生きている
コロナ禍のため、面会は週一回、15分と言っていた
フェイスシールドを付けてマスクをしているから、お子さんに頬ずりもできない…
でもね…ラインに送られてきた写真には彼女とお子さんの嬉しそうな笑顔があった
面会が終わり、お子さんから見えない所で涙していると聞くと胸が痛む
どうかどうかお二人に大きな幸せがありますようにと祈るばかり
最後に…
彼女はお子さんが一人でも生きて行ける場所をしっかり作ったのだ
私と息子との生活は今までも、これからも危うい綱渡りをしているようなもの…
彼女は言う、何が正解なのかは分からないと…
きっと皆がそうしているように、愛するもののために毎日精一杯できる事をやって、それを積み重ねて生きていくしかないのだろう