彼の病気を告知されたのは6月。
私はこの日を一生忘れないと思う。
ちょっとした病気で入院した彼のいつものようにお見舞いに言った。
いきなり、先生との話があると看護師に呼ばれて彼と個室に入った。
個室には主治医、副担当の医師、看護師と私達夫婦の5名。
大きな画面で入院したきっかけの病気の説明が始まり、私はもちろん真剣に聞いていた。
先生は淡々と話し続け、
「検査の結果、HIVの反応が陽性と出ました。」
HIV?
なんだっけ?
陽性?陰性?
どっちが悪いんだっけ?
先生は何を話しているの?
これが私の正直な感想だった。
ふと彼を見ると、先生の方をじっと見ている。
「何のこと話しているの?」
私はすぐに理解できなかったけど、額と口周りに汗がたまっていて
身体が熱くなったのだけは今でもはっきり覚えている。
話が終わり、個室から出る私に彼が一言。
「ごめんね」
それだけだった。
内容が内容だけに彼は事前に告知されていたらしい。
私はなぜか、「いいよ」と返事してしまった。
彼がバイだって事は知っていたし、もしかしてって思っていたかもしれないし、
でも、その時は現実的な話に受け止められなかった。
この日から、私の生活・人生がまるっきり変わってしまった。
だから私はこの日の事を忘れない。
私の人生が変わってしまった日。
結婚してからまだ一年もたってない日。
今思えば、あの日私は死んでしまったのかもしれない。
だって、今の私は以前の私じゃない。
今までの私は、あの日に死んじゃったんだと思う。
