便秘だとつい、「繊維質のあるものを摂らなきゃ」と思いがちですが、
食物繊維を摂って、便秘が悪化する場合もあるのです。
本来、食物繊維は消化管運動を盛んにして便の量を
増やす作用があるため便通が良くなるものだったはず......。
今回は日本消化器病学会認定消化器病認定医の
一原先生にお話を伺いました。
■食物繊維の摂り過ぎで宿便が増える!?
食物繊維はほとんど消化されずに大腸に到達し、
食物のカスがくっつき固まって、便を形造る芯になります。
食物繊維が多ければ多いほど大腸内の便が増え、
腸管を刺激して腸の動きが促進されて便通が良くなるわけですが、
一回の排便で出てくる便は直腸に下りてきた便だけなのです。
「直腸以外の便は、順番に直腸へ運ばれるのを待っているのです。
これが宿便と言われるもの。食物繊維を多く摂るということは
宿便も増えているということです」(一原先生)
■排便回数が多くても便秘
通常の排便の頻度は1日3回~1週間に3回と言われています。
しかし、これより少ないからといって便秘というわけではなく、回数は一つの目安。
回数が多い少ないではなく、その人の"普段"と比べて、回数
が少なく排便がつらくなる状態を便秘というのです。
■食物繊維を避けた方がよい便秘
食物繊維をたくさん摂っているのに便通が悪く、
お腹が張るという人がいます。その原因は腸の動きが
悪くなる要因が身体に備わっているのかもしれません。
「腸管が長い、腹筋の力が弱い、排便を我慢する癖がついている方などは、
食物繊維の摂りすぎはかえって宿便を増やすことになり、
お腹が張ってしまうのです」(一原先生)
そんな時は、食物繊維の摂りすぎに注意して、
糖分のない水分、お茶やお水の摂取を心がけ、
できるだけ運動をすることが大切になってきます。
それでも解消しないときは我慢しないで、
医師や薬剤師に相談した上で、緩下剤を服用するのも方法です。
また、便秘が長引く場合は大腸がんなど重大な病気の可能性もあるため、
早目に専門医に相談することが大切です。