「おお~、君が注目の新人、田村くんか。
私が君の上司、開発一課の院前だ。よろしく頼むよ。」
「こちらこそよろしくお願いします。」
「なんでも君は、あの東都大学出身で、学生時代の成績もトップだったとか。
されど、会社ではそんなものは関係ないからな。
変なプライドは捨てて、実直に学んでくれたまえ。」
「はあ~(変なプライドって、そんな風に見えるのかな)」
「覇気のない返事だなあ、まったく最近の若者と言ったら
少し強めに話をしたら、次の日に体調を崩したり、午後から帰宅したり
まったくどんな教育を受けてきたのやら。」
「はい、すみません(なんか、微妙な上司にあたったのかな?)」
「まあいい。ところでこの課の仕事内容は聞いてるか?」
「いえ、まだです。ここで教えて頂けると有難いのですが。」
「まあ、そのあたりはおいおいわかるだろう。
うちの課は、社内でもトップクラスの業績を上げているんだ。
くれぐれも足を引っ張らないように、失敗だけはしないように頼むぞ」
「頑張ります・・・(失敗だけは・・・か、なんか窮屈そうだなあ)」
「よし、じゃあ。今日はこの辺で。私も忙しいんでな。」
「ありがとうございました。(今日が配属って聞いてないのか?
課長にとって、新人配属はさほど重要ではないのかな)」
院前の部下として配属されたのは、田村京也といって、東都大学を
トップクラスの成績で卒業し、今年の新人の中でも幹部候補と言われている。
当然、会社としては業績トップクラスの開発一課に配属させたのだが
その初日、院前は田村の話をほとんど聞くことなく、自論を展開し
最後には忙しいと切り上げた。
つづく