~コップの中の愛はまだ半分も残っているのに~



ウロコの素描





女は一匹の回遊魚と化し



無口になって



水槽に還ってくる





荷物を降ろし



手足を胴体にしまい込み



ボロボロの裸体を



生ぬるい水槽に投げ出して



やっと 眠りについた。。。。





そうして。。。。



眠りから覚めた右の眼は



明るさのコンタクトへ



左の眼は



悲しみのレンズを





きれいに磨く仕事を





持っている





死ぬまで生き続けるために



魚の実体に



女の横顔を埋める





流す泪の数だけ



オンナのかたちを



デフォルメ化し。。。。。





金色と



銀色と



水とのまざり色と



染めまりつつ



ウロコの数だけ



オンナの勲章が増え。。。。。



あとの始末には



その数さえもわからなくなって。。。。





年を追う女に残された宿題は



尽きることなく



ウロコをそぎ落とすこと。。。。





水槽の夜には



白い月下美人が



魚の素足を



さすりさすり温める。。。。