21時12分ナースコールが鳴った。
『ちょっと足が痛えから来てくんねぇかねえ』
『わかったちょっと待ってて』
『なんか辛い事があったんだんべ。今いくつだいあんたは?23ったらそらぁ悩む時期なんだんべ。あたしは3つん時親父さんが逝ってるから。金稼ぐのぁ………容易じゃないねえ。それ学んだんだらそれだけいいこった。あんたは根性が優しすぎたんだねえ。まぁ次があんだから泣くのよしなさいな。』
それが21時。
20時に介護の仕事をやめることを告げた。
この人は明らかな認知症だったから全て話せた。
俺は小さい人間だと思った。
でもそれも見透かされてると感じた。
20時以降、これ↑を含め頻繁にナースコールで呼び出された。
『足が痛い』
『電気がつかない』
『お腹がすいた』
など。
その度同じ話をされた。
何度も励まされた。
最後はゴメンと言って部屋を出た。
何のゴメンかよくわからなかった。
パーキンソン病、
悪い足でドアまで送ってくれた。
握手でバイバイと言った。
彼女は認知症、『また来てね』と言われた。
泣きながら
『うん』
と答えた。
ゴメン、バイバイ。