学生のころ小川糸さんの本が好きで『つるかめ助産院』や『食堂かたつむり』を読みました。
文章の表現がとても柔らかくて読んでいてやさしい気持ちになります。
最近、休憩時間や通勤時間に読書をするのが好きで、
久しぶりに図書館へ行き手に取ったのが小川糸さんの『ミ・ト・ン』です。
お話の舞台は、ルップマイゼ共和国という国で、
主人公の女の子マリカは幼少期はとても活発で毎日お庭で走り回って遊ぶような女の子でした。
この国ではミトンを編んだり刺繍をしたりする試験があり、それに合格することで一人前と認められるのでした。
しかしマリカは苦手。
でも大好きなルップマイゼ共和国に認められるように一生懸命健気に練習をし、
無事に合格したのです。
苦手なこと苦手なものだからこそ健気に取り組む姿勢に自分はどうだろうと考えさせられました。
そして学校へ行くようになり出会ったのが、ヤーニスという男の子です。
マリカとは正反対なもの静かなヤーニスに次第に恋心を抱くようになり2人はやがて恋人になり夫婦になります。
思いを伝える手段としてマリカは苦手なミトンを編み、ヤーニスへ渡し思いを伝え、
それに応えるようにヤーニスはマリカの編んだミトンを付ける。
そして結婚をするときもミトンを編み、ミトンをプレゼントする。
マリカの苦手だったミトンはやがてマリカの大切に人たちへ気持ちを伝える手段となります。
苦手なものを自分の武器とする。
そして苦手だったもので人の心を動かす力にするのです。
結婚した2人は慎ましくも幸せな生活を送っていました。
養蜂や手作りのパンやケーキ、野菜や植物を育てる。
決して大きくはないが一生懸命働いて立てた家で暮らす。
まさに「ていねいな暮らし」とはことことだと感じました。
決して贅沢をしないで身の丈にあった生活が人として自分らしく生きることができるです。
そしてマリカとヤーニスのお互いを思いやり常に寄り添いあう姿には時折涙を誘います。
活発で明るいマリカを微笑ましく見守るヤーニス、
ヤーニスを尊敬しているマリカ、これこそが理想の夫婦のあり方なのではと感じます。
お互いの存在を常に確かめ合い、隣にいつもいることを当たり前と思わずかけがえのないものと考える。
自分にとって何が大切なのか、大切なものは何かを考えさせられました。
苦手なものを自分の武器とする。
そして、お互いに尊敬し寄り添えあえう存在に出会う。
私がこの本で学んだことです。