マリナの唇は、カニの食べられないところの味がした。
アルバイトをしていたマリナ。
カレー専門チェーン最王手「CoCo壱番屋」。
『カレーならココ一番や!』というキャッチコピーをひっさげ、カレーの辛さと量、ライスの量を選べる他、豊富なトッピング、30種類以上のレギュラーメニューと数種類の期間限定メニューで構成されていることもあり、マリナの口癖は「インド人もビックリ」というものだった。
彼女のバイトが終わり迎えに行って、CoCo壱で食事することが多かった。
決まって僕は1辛を、
決まって彼女は10辛を注文した。
10辛は、1辛の24倍の辛さなのに、マリナはいつも平然と、水も飲まずにぺろりと食べてみせた。
マリナはカレーのことを、カリーと呼ぶ人が好きだと話していた。
僕がカレーのことを、カリーと呼んでいるのはそういう理由だ。
今となっては、そうしたってしかたがないのにね…