マリナとジャンケンをしたことはない。
「あたしは人と争いたくないの」
マリナはジャンケンが嫌いだった。
マリナと出会ったのは高1の冬。
学校の駐輪場でおれがヒジとアゴをくっつけようとしてると、
「人間のヒジとアゴはくっつかないようになってるのよ」
と少しとがった声でマリナが話しかけてきた。
少し驚いたがすぐさま冷静に反論した。
「……本気出したらできるよ…」とおれ。
「無理よ。できっこないわ。くっつくはずかないもの」とマリナ。
「……腕を切断すれば、くっつけられる」とおれは無茶苦茶を言った。
「ふふ、おもしろい人ね」
世界で一番優しい声を聞いた。
おれはマリナに恋をした。