今会計(accounting)が面白い時である。証券市場で会計ビッグバンが起こった。会計には、国際会計基準というものがある。
 企業人はアカウンティング・サーフィンをするべきである。
 会計とは、お金の流れを記録するものである。
 組織には、営利目的のものとそうでないものがある。営利目的の組織は営利組織といい、営利目的ではない組織を非営利組織(non-profit organization:NPO)という。営利目的の組織は企業と呼ばれる。非営利組織の会計を非営利会計(消費経済会計)という。非営利会計は主に国や地方の行政が使う。これを官庁会計(公会計)という。非営利会計は他に、家庭の家計、学校法人、宗教法人、大学のサークルで使われる。この会計の主な目的は財産の計算をすることである。企業で使われる会計を企業会計という。企業会計の主な目的は財産の計算と利益の計算である。
 企業会計には、貸借対照表(blance sheet:B/S)と損益計算書(profit and loss statement,income statement:P/L)がある。利益の計算が目的の報告書は損益計算書であり、財産の計算が目的の報告書は貸借対照表である。この2つを含めたものを財務諸表(financial statements)という。損益計算書は1会計期間中の経営成績を表す。貸借対照表は期末の財務状態を表す。
 近頃地方自治体には、企業会計を取り組みべきという声がある。
 企業会計には、財務会計と管理会計がある。財務会計は株主や債権者(社債所有者や銀行)に会計状況を報告する会計で外部報告会計ともいう。財務会計の中で法律で規制されたものを制度会計という。会社法や金融商品取引法(旧証券取引法)で規制されたものは制度会計である。また、法律で規制されない財務会計もある。海外の投資家向けの英文財務諸表の開示である。企業の社会的責任(corporate social responsibility:CSR)もそうである。
 管理会計とは、経営者に会計情報を報告する会計で内部報告会計ともいう。管理会計には、意思決定会計と業績管理会計がある。意思決定会計は個別計画のためのものである。業績管理会計は予算と実績を比較する。
 財務会計に関連する法律は3つである。会社法、金融商品取引法、法人税法である。会社法と金融商品取引法は財務会計を直接的に規制している。この3つの法律を合わせて、トライアングル体制と呼ぶ人もいる。
 金融には、直接金融と間接金融がある。直接金融は株式等から得られる資金であり、間接金融は銀行から借り入れる資金である。かつては間接金融が多かったが、現在は直接金融が多くなっている。
 証券市場に資金を提供する人を投資者という。企業は投資者に会計情報を提示しなければならない。
 金融商品取引法により、企業側は有価証券届出書を作成し、開示しなければならない。同様に有価証券を扱う証券取引所に上場している企業は有価証券報告書を毎期作成し開示しなければならない。これらは財務諸表に含まれる。財務諸表は、企業会計原則、企業会計基準がある。金融商品取引法は企業を監視する機関がいれなければならないとしている。それは公認会計士である。
 主に上場企業を対象にしている金融商品取引法と対照に、商法は全企業と商人を対象にしている。会社法は2005年に商法から独立したものである。企業は株主、債権者、経営者の複雑な関係で成り立っている。
 有限責任とは、会社が倒産しても株主は出資額以上支払う必要がないこと。債権者は株主への出資金を期待できない。
 株主総会とは、株主の意思決定機関である。株主総会で取締役が決められる。さらに取締役会で代表取締役が選出される。経営者は株主の意向を遂行して業務を行わなければならない。経営者の株主に対する会計の説明を会計責任[アカウンタビリティ(accountability)]という。
 会社法での貸借対照表や損益計算書を計算書類という。
 金融商品取引法と会社法は役割が違う。
 当期純利益から税をプラスマイナスすることを確定決算主義という。
 財務諸表を証券投資者が使う場合を見てみる。証券投資者が財務諸表からリスクとリターンを分析することをファンダメンタル分析という。財務諸表には、安全性と収益性と成長性がある。
 2001年にノーベル経済学賞を受賞したアカロフが1970年に発表した論文がある。それが『レモンの市場』である。外がきれいで中身が酸っぱいことから、レモンは欠陥品と例えられる。アカロフはレモンが市場を破壊することを証明した。この原因が売り手と買い手の情報の格差であることが分かった。中古車売買で例を上げてみる。日本では車検制度があり、さらにディーラーもいるので、ほぼ価格通りの製品である。しかし、アメリカでは車検制度がなく、情報誌によって取り引きされるので、価格と製品の質が合っていないことがある。例えとして、売り手は買い手より車の製品を知っているとする。売り手がどんなに詳細に車の製品を説明しても、買い手には真偽が分からない。そういうリスクを折り込んで、中古車は高品質の車も低品質の車も同じ値段で市場に出る。すると、所持者は高品質の中古車を売るより自分で使用した方が良くなる。さらに、低品質の中古車は高品質の中古車と同じ値段で売れるので、積極的に売る動機がある。これにより、中古車市場は低品質の中古車ばかりが出回り、中古車市場が崩壊するのである。証券市場にも同じことが言える。
 社債投資者のために「財務上の特約」がある。
 銀行には、固定業務と付随業務がある。付随業務は有価証券を扱う。固定業務は金利の取り扱い等を行う。
 従業員は毎年春に春闘を行う。従業員の賃金を上げるために行われる。その時、従業員の賃金が上がることをベース・アップという。主体は労働組合が行う。
 企業は地域住民にも配慮しなければならない。貸借対照表と損益計算書に環境コストや環境負債があるなら、地域住民が確認できる。この環境会計情報が大切になる。企業は環境会計情報を開示し、地域住民は理解できるようにする。
 国や地方自治体からの税金があり、企業に税金がかけられている。
 財務会計には、3つの活動がある。資金調達活動、資金投下活動、営業活動の3つである。会計には、株主等から得られる資本(capital)がある。資本は自己資本とも言う。さらに、銀行から借り入れる負債(liabilities)がある。負債は他人資本とも言う。他人資本には、借入金等がある。
 調達した資金を投下して、資産(assets)を運用する。
 資産=株主資本+負債
 これは貸借対照表を表す。資金調達から資金投下の流れは財政状態を表す。
 資金投下から資金運用の時に、資金が増加したりする。また、当然減少もする。これらの損益を表すものが、損益計算書である。これは、経営成績を表す。
 財務会計の取引を表すものが、複式簿記(double-entry book-keeping)である。複式簿記は企業家の知恵の結晶と言われる。取引は二面で書かれる。例えば、従業員の給料を現金で支払う例をあげてみる。現金を支払うと費用という項目と資産の項目に分かれる。
 複式簿記の歴史は13世紀~14世紀のイタリア商人から始まる。そこから、1494年にベネチアの数学者のルカ・パチョーリ(ルカ・パチオリ)の書で複式簿記があった。これが現在の複式簿記の原型である。イタリア商人から始まり、イギリスに渡り、さらにアメリカへ渡り、そして明治時代の日本に伝わった。1994年には、複式簿記生誕500年記念祭があった。500年以上使われている技術はそうはない。
 法人税には、3種類ある。


 参考文献
桜井久勝
・財務会計・入門
・財務会計講義
・会計学入門
大阪市立大学商学部編
・ビジネスエッセンシャルズ⑦ 会計