第42話 虐められてるのは?
すごい悲惨な光景に、目を反らしたくなる。
目をこじ開けてよく見てみると、やっぱり和樹だった。
何せ3年ぶりの再会なので、和樹かどうか分からなかった。
それでも和樹だと分かったのは3年生の時の喧嘩が幼い私の心に、トラウマとして根強く存在していたからだ。
そして何よりも、またこうして和樹と同じ学校になってしまった事が、偶然すぎて驚いた。
もうこんなやつ二度と会うことはないと思っていたから…。
和樹はあれから3年もたち、身体は上にも横にも大きくなっていた。
その体格の割には小さすぎる一重の瞳には、うっすら涙が滲んで痛さに耐えていた。
今の和樹には、昔のガキ大将の面影はすでにない。
前の学校でも、いじめと言わないまでの小さないじめはあったが、ここまで陰湿ないじめはない。
和樹も悪ガキだったが、こんな酷いいじめをしているのは見たことがない。
止めてあげたいけれど、転入初日の私にはみんなの名前も顔も分からない。
いきなり登場して、いじめを止めさせる度胸が私にはなかった。
和樹も自分のこんな姿を、私には見られたくなかったと思う。
その日はそれからも、和樹と目が一回も会う事はなかった。
学校が終わり、また和樹を取り囲む男子たちの姿が目に入った。
ゆうな「もう何も見たくない…」
そう思い、一目散にその場から逃げ出した。
結局私は意気地なしだった。
今度自分がやられるかもしれない恐怖に、完全に負けてしまっていた。
いじめられてるのは和樹なのに…。
唯一の前の学校の同級生なのに…。
どうする事も出来ない自分が、情けなくてダメ人間で本当に嫌いになった。
結局私は自分が一番可愛いくて、他の人の幸せのために自分を投げ出せることはできない人間だったという事実が、この学校に来て分かってしまった。
誰よりも正義感があると思っていた…。
かなり落ち込んでしまい、この時本当に病んでしまった。
学校から帰ると、母と父がニコニコしながら私に話しかけてきた。
母「おかえり!今日学校どうだった?」
父「友達たくさん出来たろ?」
かなり上機嫌でお酒でも飲みながら、今日1日の出来事を聞いてきた。
友達なんて1人も出来てないし、居場所がない。いじめはあるし、先生もあまり頼りない。
でも、父と母に、これ以上心配はかけたくない。
ただでさえ姉と弟の事でショックを受けてるはずだから。
ゆうな「たくさん友達できたよ!みんなひっきりなしで話し掛けてくるんだから困っちゃったよ」
また嘘をついてしまった。
私たち家族3人は、楽しく笑いあった。
1人1人の心にガッチリと鍵をかけ、上辺だけの笑顔だ。
家族みんながそうだった。
母は娘に裏切られたショックと一番可愛がっていた弟がいない生活、父も娘にまた裏切られ、その事で会社の中で笑い物にされている。
顔で笑い、心で泣いていた。
それぞれの思いを胸に…。
そして、家に電話が鳴った。
ゆうな「もしもし、どちら様でしょうか?」
「……………………。」
その電話は無言だった。
その時私はピンときたのだった。
目をこじ開けてよく見てみると、やっぱり和樹だった。
何せ3年ぶりの再会なので、和樹かどうか分からなかった。
それでも和樹だと分かったのは3年生の時の喧嘩が幼い私の心に、トラウマとして根強く存在していたからだ。
そして何よりも、またこうして和樹と同じ学校になってしまった事が、偶然すぎて驚いた。
もうこんなやつ二度と会うことはないと思っていたから…。
和樹はあれから3年もたち、身体は上にも横にも大きくなっていた。
その体格の割には小さすぎる一重の瞳には、うっすら涙が滲んで痛さに耐えていた。
今の和樹には、昔のガキ大将の面影はすでにない。
前の学校でも、いじめと言わないまでの小さないじめはあったが、ここまで陰湿ないじめはない。
和樹も悪ガキだったが、こんな酷いいじめをしているのは見たことがない。
止めてあげたいけれど、転入初日の私にはみんなの名前も顔も分からない。
いきなり登場して、いじめを止めさせる度胸が私にはなかった。
和樹も自分のこんな姿を、私には見られたくなかったと思う。
その日はそれからも、和樹と目が一回も会う事はなかった。
学校が終わり、また和樹を取り囲む男子たちの姿が目に入った。
ゆうな「もう何も見たくない…」
そう思い、一目散にその場から逃げ出した。
結局私は意気地なしだった。
今度自分がやられるかもしれない恐怖に、完全に負けてしまっていた。
いじめられてるのは和樹なのに…。
唯一の前の学校の同級生なのに…。
どうする事も出来ない自分が、情けなくてダメ人間で本当に嫌いになった。
結局私は自分が一番可愛いくて、他の人の幸せのために自分を投げ出せることはできない人間だったという事実が、この学校に来て分かってしまった。
誰よりも正義感があると思っていた…。
かなり落ち込んでしまい、この時本当に病んでしまった。
学校から帰ると、母と父がニコニコしながら私に話しかけてきた。
母「おかえり!今日学校どうだった?」
父「友達たくさん出来たろ?」
かなり上機嫌でお酒でも飲みながら、今日1日の出来事を聞いてきた。
友達なんて1人も出来てないし、居場所がない。いじめはあるし、先生もあまり頼りない。
でも、父と母に、これ以上心配はかけたくない。
ただでさえ姉と弟の事でショックを受けてるはずだから。
ゆうな「たくさん友達できたよ!みんなひっきりなしで話し掛けてくるんだから困っちゃったよ」
また嘘をついてしまった。
私たち家族3人は、楽しく笑いあった。
1人1人の心にガッチリと鍵をかけ、上辺だけの笑顔だ。
家族みんながそうだった。
母は娘に裏切られたショックと一番可愛がっていた弟がいない生活、父も娘にまた裏切られ、その事で会社の中で笑い物にされている。
顔で笑い、心で泣いていた。
それぞれの思いを胸に…。
そして、家に電話が鳴った。
ゆうな「もしもし、どちら様でしょうか?」
「……………………。」
その電話は無言だった。
その時私はピンときたのだった。