階段を上りきると、曲がり角でいきなりあなたの姿が視界に入った。

 

うつむき気味の私の視界に入ってきたのは、去年仲が良かったころにあなたがよく着ていた白いウェア。少しだけ、ほんの一瞬だけだけど、時間が止まったように思えてその景色がはっきり見えた。

 

不意を打たれたように、口から「こんにちは」と小さくつぶやく自分がいる。あなたもまた、不意を打たれたように「こんにちは」と返す。余裕のない私の心がふわーっと解放されるのがわかった。と同時に、心配げに少し私の方を気にするあなたを視野見で感じた。