のろのろとした太陽がようやく沈むと

定かになりかけた感覚のはじから聞こえてくる低い口笛のような闇が訪れた。

血中のニコチンとアルコールが不足して

あやうく死にそうになる頃に

絶妙のタイミングで

夜はやってくる。



おんなこどもが深い眠りにつく夜

昼の間の未練が

かなしく くだらない 夜の宴を 始めるのだ。



映すものを失ったテレビを観る者はなく

耳と皮膚の感覚だけを澄ましながら

泉の場所を求めてさまよう夜。

朝陽が瞼を開く前に

泉の水で洗い流さなければ

それは古傷となって

うぉーん うぉーん と疼き

夢や 希望や 明日までも

奪い去ってしまうから。



うぉーん うぉーん と

体の奥深くに響く疼きに

うなされながら そっと瞼を開くと

忌々しい夏の太陽が

明るく 元気な 朝を連れて

容赦なく照り輝いていた。