少年飛行士が


片道分の燃料で


敵の戦艦に体当たりする戦法、


しかし大半が激突のはるか手前で撃墜され


海のもくずと消えていく。。




特攻隊のことを思い出すたびに


少年飛行士の凄まじい人生とともに


彼らの母親のことを考えずにはいられない。



どこでもそうだが


どういう訳か


母親は息子に甘い。


うちの下の子なんかも


おねえちゃんとは違う感じで


母親もゾッコンだ。



自分の腹を痛め


体の一部を分けるようにして産んだ


自分の大切な息子が


死にに行くのを送り出すときの母親の気持ちは


考えるだけでも胸がしめつけられる。



これまでの十数年間


一緒に重ねてきた少なくない時間が


かえって永久の別れを哀しいものにしただろう。


誕生を喜び


乳を与え 熱が出れば心配し 


大事に育ててきた我が子が


死にに行くのを送り出すのだ。





少年飛行士は激突の瞬間、


その多くが


おかあさん と叫ぶと言う。


きっと 母親の想いが


はるか遠く海を渡って


息子に届くのだろう、


その想いに大きな声で返答して


散っていったのだろう。





こどもをもつ親になると


同じ事柄でも


ずっと深い爪痕みたいに


ヒリヒリと熱く痛むように感じる。


イメージが膨らむようになるからだろうか。


イメージを膨らませて、戦争は二度と。