その少女の家族は、すべて女性だった。

潮焼けして肌に染み付いた、みんな、褐色の肌をしていて、

少女の祖母というその老母の顔は、皺のないところが無いほど

しわくちゃだった。


細く通った鼻筋、窪んだ目、濃い眉、薄い唇...

みんな美形で、背は低い。


老母の隣には年老いた母親、そして二人の妹、妹の子供たち。

五人の女性が、みんな俺をみつめていた。

すべての女性と、キスの挨拶を交わした。


その国のその村では、ゴキブリを飼う習慣があるらしく、

10匹以上のゴキブリが放し飼いになっている。

どれも薄茶色の親指大のものだ。


俺は、長袖一枚では少し肌寒いその国の季節の中で

ボロボロの木造のバラックで昼寝をしていると、

アーモンドがいくつも、体の上にばら撒かれているのに気づく。


アーモンドをひとつ、口へ入れようとすると、

そいつはゴキブリだった。

体の上に散らばったアーモンドは、

いっせいにガサゴソと動いて、どこかへいなくなってしまった。