さすがは、薔薇の国。

同じバラ科の苺が至る所に。

ブラックベリー、ローズベリー、ブルーベリーにクランベリー...

当時、私たちの母は、豊富なイチゴのジャムをスーパーで買ってきては、

食卓に並べていた、胚芽の食感が残るブレッドと。


石の滑り台、と私たちが呼んでいた、あの吊橋の近くの草原にも、

様々なベリーが実をつけていて、見つけては口の中へ。

プチプチッと小さな種のツブツブが舌に感じられ、

甘く酸っぱい味が広がる。甘さと酸味のバランスが絶妙だったからこそ、

続けて ふたつ みっつ は、食べられた。



遠い日の記憶は、ほとんど忘れてしまった。

..せめて、あの娘が近くにいてくれたら、もっと書けるのだけれど..

ミミと呼ばれたその少女も、いまや二人の母親になっている。

元気かい?