もう嫌


お昼ご飯も喉に通らず、ただただ泣き続けていた私は体育館裏のちょっとした段差に座り、放心状態に陥っていた。


彩ちゃんに振られて、もうなんといったらいいのか分からないくらいショックだった。


彩ちゃんは最近、太田夢莉ちゃんとめっちゃ仲良くて、夢莉ちゃんがすごく羨ましい。


毎日一緒に登校して、帰りも一緒の時もある。


それに彩ちゃんは昼休みになるとどこかに行ってしまう。


前は朱里も一緒に、3人で食べてたのに……


悔しいけど夢莉ちゃんはすごく可愛い。

二人で帰る時も夢莉ちゃんの話ばかりする。


彩ちゃんは夢莉ちゃんが好きなんかな?


そうだったとしたら………


そんなことを考えてたらまた涙があふれだしてきた。




「はぁー」


「何してんねん」


ため息をついた瞬間大好きなあの声が聞こえてきた。


「さ、彩ちゃん……」


「こんな所で何してんねん?」


「何にもないよ……」


「泣いてるやん」


「……泣いてへんわ」


「………美優紀…ごめんな」



「なんで謝るん?別に悪いことしてへんやん」


「……でも」


「もう、気にしてないし」


ウチは立ち上がり、歩き出したけど彩ちゃんは動かない。


「彩ちゃん?教室戻らへんの?」


「美優紀、あんな……」


「なに?」


「太田夢莉って知ってるやろ」


また夢莉ちゃんの話か……


「うん」


「好きやねん」


やっぱり……


目の前で夢莉が好きって言われたのになぜか涙は出なかった。


さっき泣きすぎたからかな


「そっか」


「おぅ」


「なんで……なんで言ったん?」


「言った方がええんかなと思って」


「ふふ、そっか」


愛想笑いをして教室に戻った。