流れていくガラスの小瓶 願いを込めたメッセージ

水平線の彼方に 静かに消えてく


“一護”が処刑されてから数日が経った

王子がいなくともあの国は平穏を取り戻しつつあり、のちの人々は“悪ノ王子”と一護を呼び語っていた

織姫の国は旅をしていた兄、昊が帰って来て国を治め、雨竜の国は何も変わらず竜弦が国を治めていた

一護の国を端に行くと町外れの小さな港がある

その小さな港に一人ただずむ少年がいた。

少年が布を被って橙の髪を隠している、その少年は死んだとされている一護だった


一護は小さな小瓶を持って海辺に立ち水平線の彼方を見つめている、瓶の中には折り曲げた羊皮紙が入っている


「コン、昔教えてくれたよな。この海の言い伝え」


一護が王子になり召使としてコンが一護の傍にいるようになり、初めてお忍びをした

初めてのお忍びがこの小さな港だった


『海だ…!コン!海だ!』

『一護様、海は初めてですか?』

『あぁ、本でしか見た事無かったから実物を見るのは初めてだ』


外に出たことのあるコンとは違い一護は城の外から出ることを許されず、毎日勉強の日々だった


『それとコン。俺に敬語使うの禁止!』

『しかし王子様にそのような事は…』

『俺がいいからいいんだ!それに俺ら双子だろ、昔見たく普通にしようぜ』

『…それもそーだな』


一護とコンがこうして話したのは約五年ぶりで互いに話すのがとても懐かしく感じた


『一護、この海には昔からある言い伝えがあるんだ』

『言い伝え?』

『願いを書いた羊皮紙を小瓶に入れて、海に流せば思いは実るらしい』


コンは手に持っていた瓶を一護に渡した、瓶の中には文字が書いてある羊皮紙が入っている


『らしい…って、不確定な言い伝えか』

『オレだって人から聞いた時はそう思ったさ。でも、オレは実ると思うぜ』


一護の手から小瓶を奪うとコンは小瓶を投げた


懐かしい昔の思い出


「コンの願いは…何だったんだろう」


あの願いは最後は教えてはくれなかった、いくら問いただしても「教えるか!バーカ!」とはぐらされたままだった


(今思えば俺のためにアイツは何でもしてくれた、でも俺は我儘ばかりでアイツを困らせていた)


兄である一護が弟であるコンに我儘を言っていたがコンは笑って一護の言葉に頷いてくれた


(願いを叶えてくれるアイツはもういない…だからせめてこの海に俺の想いを届けてもらうんだ)


かつてコンが小瓶を投げたように一護も小瓶を海へ投げ入れた

ポチャン、と海に浮かび波に任せ瓶は水平線の彼方へ流されていく


(俺が罪に気付くのっていつも全て終わった後だな……)

「…もしも生まれ変われるのなら―…」


最後の言葉はザァ…と波の音で消されてしまったが一護は小さく笑っていた


「まら未来で会えたらいいな、コン」


一護は小瓶が消えてなくなるのを見計らって仲間達がいる小屋まで歩いていった


―海辺に落ちている一つの小瓶。中の羊皮紙には一つの願いが書いてあった


“一護が自由になれる世界になれ    コン”





続く





分かると思いますがリグレットメセージです

次で最終回