例え世界の全てが(ついにその時はやってきて) お前の敵になろうとも(終わりを告げる鐘が鳴る)
オレはお前を守るから(民衆などには目もくれず) お前はどこかで笑っていろ(アイツは俺の口癖を言う)
公開処刑は午後三時、コンと一護が約束した時間
場所は…広場
『三時に広間でまた会おう』
それが二人の“約束の場所”だった
(一護にオレが殺される瞬間見せちゃうな…見せたくないのに、あの場所に居て欲しくないけど…一護は約束を破るような奴じゃないから無理か)
コンは自嘲した笑みをして処刑台に連れてこられた
目の前にあるのはギロチン、その前には数多くの民衆が見渡せる
民衆の顔を見ながら死ぬ……残酷な死刑
後に固定された手を解かれ、半分円形に穴の開いた部分に顔と両手首を置き、上から逆半分に穴の開いた板を乗せられる
集まっている国民達は“殺せ!”と叫び、繰り返している
その中に…フードで見せないようにしているが橙がある
(一護…約束破ってゴメンな)
―――――
「なっ…なんで…どうして…どうしてアイツが……!」
指定された場所、指定された時間に行った一護の目の前には今から処刑されようとしているコンの姿があった
伊倉叫んでも周りの声に自分の声がかき消されて意味が無い
「王子が死ねば平和になるだろうか」
「なるだろ、あの王子は自業自得だろ」
(違う!アイツは俺の召使で俺が王子だ!俺が本物だ!!)
先頭に行きたくてもたくさんの人で中々前に進めない
「ブラック・斬・一護、最後に何かいう事は無いか」
久しぶりに聞いた自分の名前と同時に教会の鐘が鳴る
時計の針は三時をさしている
「言う事か…あぁ、菓子の時間だ」
そう言った時。漸くコンと一護の視線と合う
コンは口パクで何か言うと同時にギロチンの刃が落とされた
ザシュッ!!、とコンの周りに飛び散る血、地面に落ちるコンの首、それを見て喜んでいる民衆達
「ぅぁっ……ぁぅ…っぁぁ…!」
一護は言葉にならない叫びと涙を流しながら地面に崩れ落ちた
周りの声など一護の耳に届かない
「コン…!コン!しっかりしろ!!」
「…!ど…どうして…」
「一護様の命令を無視した、無視したのは初めてだ」
一護が振り向けばそこには頬の刺青をバンソウコで隠し民の服を着ている修兵がいた
修兵は一護を立たせ人気の無い路地まで出ると一護を抱きしめた
「修兵…その、俺はコンじゃなくて…コンだけど…」
「分かってるよ。全部」
「え…?」
「命令に反した事お許しください、一護様」
修兵はフードを取り一護の額にチュッ、と軽くキスをした
「一護とコンの話、悪いが部屋の外から聞かせて貰っていた」
修兵は部屋を出てから中から聞こえてくる計画に耳を傾け秘かに聞いていた
一護もコンも扉があの時少し開いているのに気付かなかったからこそ出来た事
「でも修兵、俺はもう王子じゃない、お前だってもう大臣じゃないんだぞ…?」
「だったら一護の兄になってやる、少しは甘えてみろ」
「修…っふぅ…ううぅ・・・うあぁぁぁぁぁ!」
一護は修兵の胸元に顔を埋めて泣いた
修兵の前で見せた初めての涙
「修…っ!修っ…!」
「よしよし、今まで良く泣かずにいられたな…偉かったよ」
修兵が頭を撫でていると後から誰かがやって来た
修兵は一護の顔を見せないようにする為に布を被せ顔を自分の胸に押さえつけた
「何だお前らは…一護を捕まえに来たのか、雨竜様…いえ、ホワイト・嶺・雨竜、恋次」
「…雨竜…?」
かつての友達で一護を追い詰めた二人がいた
「一護、僕は君を許す事な無いと思う。…でもそれと同時に自分を許せない、君を追い詰めて君の国を滅ぼした、一護と同じ事をした」
「なら…なら何だよ…!コンは…!コンは戻って来ないんだ!」
「織姫様だって戻って来ない!……僕達は同じ罪を背負っている、だからもうお終いにしないか?」
互いを恨み憎むことを…
「僕はもう王子じゃない、これから恋次と静かに暮らしていく。誰にも見つからない場所で、もう君に会う事なんて無いだろうね」
「…なら!なら一緒に暮らさないか……?コンはきっとそれを望んでいるはずだから」
コンが最後に伝えた言葉は
『雨竜様と幸せになれ、生まれ変わったら遊ぼうぜ』
死ぬ間際まで自分の心配をしていたコンの思いを無駄に出来ない
「うん…コン君の願いを叶えてあげよう」
―狂っていた歯車は静かに元に戻り始めた...
続く
下書きが出来ているのはここまでです
これで悪ノ王子と悪ノ召使は終了、次回からはリグレットメッセージになります
後2話ぐらい続くのか??