令和最初の大晦日に | 脚本家そごまさし(十川誠志)がゆく

脚本家そごまさし(十川誠志)がゆく

テレビアニメ、ドラマ、映画と何でも書くシナリオライターです。
24年7月テレビ東京系で放送開始の「FAIRYTAIL」新シーズンに脚本で参加しています。
みんな観てねー。

 

 28日に今年じゅうに書くべき原稿を全て終え、冬休みに入っている。

 きのうの午後に近くの理髪店に行ったら、ご主人がいつもの笑顔で「正月休みはどうされるんですか?」と尋ねた。

「えーと……多分ゴロゴロというか、寝正月だと思います」

 ご主人が笑っているので付け加えた。

「というか、自営業で家でする仕事で、普段でも突然長い休みがあったりしますのでね。寝正月といってもあんまり有り難みがないんですが……」

 つまりは、正月の状態も気分も、おそらくは例年通りという事だ。

 

 今年は年号が変わり、平成から令和になった。

 だからといって生活がそうそう変わる訳もなく、いつも通りの一年を過ごしたような気がしている。

 前半はずっと「ゴマちゃん」の脚本にかかりきりで、中盤はあまりよろしくない感じで仕事が停滞し、後半からは相次いで二つのテレビアニメの仕事をいただき、まずまず忙しい。この二つはどちらも来年放送開始なので、いずれ告知できると思う。

 さらに、どちらも意欲的な企画で、慣れや経験だけでは済まされない、良い緊張感を要する仕事なので、今年の秋くらいからはどことなく脳と体が活性化しているような気持ちもある。

 こうして仕事の内容によって「生物としての自分」まで活性化したり停滞するというのは、仕事漬けの日本人ならではなのかどうか、どなたか研究している方がいるかもしれない。

 昔から我ながらワーカホリック以外の何物でもないという自覚はあるので、そういう事が気になったりする。

 

 同居女子との暮らしは、今年で9年目に入った。

 8年前の同居し始めた当初は、2人とも「こんなふわふわした暮らしがいつまでも続くものなんだろうか」と半信半疑だった面があり、平成が令和に変わった今は、気づいてみればもう9年、という印象の方が強い。

 数日前に晩ご飯を食べていたら、彼女が感慨深げに言った。

「早いねぇ。もう9年だ」

 私も同感だったので、

「そうだね。早いね」

 と答えた。

 すると、不思議と2人とも会話がなくなり、その後は食事が終わるまで無言だった。

 だがそれは、「いい沈黙」とでもいうもので、少しも嫌な気はしなかった。わざわざ文章でこう書くと、何やら小津安二郎監督の世界のようで気恥ずかしいが、実際そんな感じがしたものだ。

 楽しい無言。

 そういう瞬間が、近頃かなり貴重だなと思えるようになっている。

 今の我が家の空気を表現すると、こうした言葉がぴったりなのだ。

 楽しい無言。

 

 令和になって我が家で最も変わった事と言えば、実はこの「楽しい無言」の空気感が出てきた状態なのではなかろうか。

 まだ老境には入っていないが、こうした気分を楽しむ歳にはなってきたらしい。

 してみると、我が家の「令和元年」は、総じて穏やかに、平和に過ぎていったようだ。

 

 皆様、本年も当ブログをご愛読いただきありがとうございました。

 といっても、模型作りにかまけて記事の更新が滞りがちでしたが、ブログを始めた当初より「書きたい事を、書きたい時に書く」というモットーでやってきたものですから、楽しみにしている方々には申し訳ないいと思いつつ、その点どうぞご了承ください。

 来年も、気長に更新していく予定です。

 

 それではどうぞよいお年をお迎えください。

 

 同居女子ともども、ぺこり。