そのとき、僕は、神保町のおんぼろビルの3階にいた。
今日は、浮気して、いつものゲティではなく
THE HAMBARGのハンバーグランチ、
温野菜2倍盛り、目玉焼きオプションを
まさに注文しようとしているとき。
突然、おんぼろビル全体が激しく揺れはじめたのだ。
僕は、あまり取り柄のない男なのだが、
肝だけは太い。
だから、最初は、あんまり怖くなかった。
でも、ゆれは長く、次第に激しさを模してくるので、
「あれ?これはやばいなあ」と思ったが、
下手に動くと、怪我をしそうなので、
券売機につかまって、踏ん張っていた。
脳裏には、あのニュージーランドの
倒壊したビルの映像が浮かんだ。
そう、これは筋金入りのおんぼろ老朽ビル。
しかも3階。
倒壊→死。
という連想が浮かんだけれど、
どうしようもない。
狭くて急な階段を駆け下りようとしたところで
転んで怪我をするだけだろうし、
いずれ、どう振舞おうが、お陀仏な時は
お陀仏だ。
すると、そのうち揺れが収まった。
こういうとき、人間は、不思議である。
揺れも収まったことだし、と、
僕は、何事もなかったように
THE HAMBARGのハンバーグランチ、
温野菜2倍盛り、目玉焼きオプションを
注文していたのである。
で、店主が、ガスが止まっちまったので、
作れないので、申し訳ないが。と
キャンセルになってしまった。
本当は、こんなおんぼろビルから
早々に退散すべき。
で、僕は、仕方なく外に出た。
すると、神保町の街中は、
ヒトがあふれ返っている。
皆、ビルを出て、外に避難した格好だ。
で、また、面白いもので、
皆、興奮している体で、
口々にいろいろいなことを
口走っている。
で、なんだか、皆、ちょっと楽しそうなのだ。
これは、ちょっと驚きだった。
災害なのに、興奮して楽しそう。
いつだか、江戸の大火の後のことを
外国人宣教師がレポートした文章を
見たことがあるが、同じような現象が
見られた。
大火で、江戸の庶民は、
皆焼け出される
という悲惨な目に遭ったのに、
なぜか、皆、ひどく興奮して、
楽しそうに映った、と。
ああ、これのことなのか。
僕は、神保町の街角で、
そう思った。
罹災の後の狂躁。
それは確かにある、
人間の不思議な習性だ。
僕が、地震のあと、
何事もなかったように、
THE HAMBARGのハンバーグランチ、
温野菜2倍盛り、目玉焼きオプションを
注文してしまったのも、ちょっと関連がある。
人間は、やばい状況に遭うと、
それをやり過ごして、
何事もなかった
ようにいつものように振舞うか、
逆に、非常に興奮して、
楽しい感情になって、
状況を錯覚しよう
とするものなのだろう。
一種の防衛反射みたいなものだ。
多くのヒトが、そのような状態に
なっていた。
それから、僕はどうしたか?
その後の話は、また、明日に続く。
それから、全国で、
地震および、大津波で、
亡くなった方、甚大な被害を受けた方
心より、哀悼の意を表します。
今まさに、生命の危険にさらされている方、
なんとか、助かっていただきたいです。
一般市民の僕としては、
今は、何もできることはないのですが、
この災厄の被害が、少しでも、
軽減できますように、祈るばかりです。
この日本という国に
生きるということは、
こういう悲劇に遭遇する
危険性をはらんでいる。
ということは、皆、承知の上
なんでしょうけど、
本当に、悲惨で、過酷なことです。








