連載掌編小説「彼のコンセプト」⑰ | ヒロN式!

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「メイド喫茶元オーナーが書いた女の子の取扱い説明書」
の著者・ヒロNが綴る毎日のよしなしごとです。

第38話「ピーカブー」



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デスクの引き出しをひっくり返すと、いろいろな小物でデスクの上がいっぱいになった。

彼は、あまりそういうことが好きではなかったのだが、ある日、とうとうデスクの引き出しが物で詰まって開かなくなってしまったのだった。

小物をぶちまけると、会社の女の子が、物珍しそうに寄ってきた。

彼は、構わず、全ての段の引き出しの中身を、順にひっくり返していった。

デスクの上は、山になり、鉛筆やガラクタが転がった。

彼は、手をはたき、雑多なものから、必要なものと必要でないものを選り分けた。

ガラクタの山から、面白いものが出てくると、そこで手が止まってしまうので、

整理は、なかなか終わらなかった。

彼は、ガラクタの中から、小さな自転車のおもちゃを見つけた。

ブリキの丸っこいぜんまい仕掛けのおもちゃだった。

なぜ、そこに入っていたのか、彼には見当もつかなかった。

彼は、それを握り締めてみた。丸っこい冷たい感触が快かった。

彼はぜんまいを巻いてみた。

ぜんまいは、うまく巻けず、無理をして、力を込めると、途中で、鋭い音がして

切れた。

彼は、急に夢から醒めたような気分になり、それを引き出しの奥にしまいこんだ。

彼は、しばらくして、一年前も同じことをした、と気がついた。





第39話「ラスト・タイフーン」



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窓を開けたまま眠っていたら、急に風が頬をなぶり、彼は目を覚ました。

レースのカーテンがはためき、突風が吹き、部屋の中のこまごましたものが

バタバタと倒れた。

彼は、起き上がり、窓を閉めた。

閉めるか閉めないかのうちに激しい雨が、ガラス窓を叩き始めた。

一息ついて、ラジオのスイッチを入れると、男のアナウンサーが、台風の

上陸を告げていた。

台風は、八丈島の北から、房総半島と東京を直撃する格好になっていた。

すざましい雨音が休みなく続き、ラジオの音量も大きくしなければならない

ほどだった。

アナウンサーは、今度の台風がいかに強力かを長々と説明していたが、

なによりも、外の雨音が、それを雄弁に物語っていた。

彼は、アルミサッシの窓にロックをかけながら、部屋を暗くして、外を

見つめた。

雨滴は滝のようにガラス窓を伝い、流れ、外の景色をひどく無邪気にデフォルメ

していた。

何も見えない。と彼は思った。

いつも、この窓から外を見るときに、目に入る赤いネオンの広告も、今は、

ぼんやりと見えるだけだった。

雨足が間歇的に弱くなると、風が強く吹いた。ゴウという音がアルミサッシ

を震わせた。

彼は煙草に火をつけ、ベッドの上で、あぐらを掻き、寝酒のウイスキーを取り出し、

口をつけて、ラッパのみした。

彼は、もう今夜は、目が冴えて、眠れないだろうと思った。

彼は、ゆっくりと十月の台風を楽しむ気になっていた。


おじさん、おばさんは読むべし!

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