第37話「セプテンバー」
頭だけを海面に出すと、波は思いのほか強かった。
彼は岸の方を見た。
岸には、色とりどりの服を着た釣り人たちがいた。
波に揺れながら、ダイビングウォッチを見ると、2時半を回っていた。
タンクのエアは、もう30気圧を切っていた。
潜り足りなかったが、帰るしかないと思った。
彼は、もう一度、岩だらけの磯を眺め、ため息をついて、レギュレーターの
マウスピースを咥えなおした。
息を吐きながら、手であおると、徐々に頭が潜っていた。
8メートルほど、降下していくと、灰白色の砂浜の上に赤いウェットスーツが
見えた。長い髪が、潮で踊っていた。
彼は砂煙を立てないようにフィンの動きを止めて降下した。
赤いウェットスーツの腕に、彼のフィンの先が当たった。
彼女は、驚いて、身体を震わせて、マスクをつけた顔を巡らせた。
彼女の脅えた眼と彼の視線が合った。
彼は、彼女の二の腕を取った。
彼女は、彼に抱きついてきた。彼も彼女を抱きしめ返そうとしたが、背中や胸に
ついた装備が邪魔をして上手く行かなかった。
彼はマウスピースを咥えたまま、彼女の二の腕を取り、頬をつけた。
彼女は、やや落ち着きを取り戻した。
向き合った姿勢で静かに上昇した。
泡より早くならないように、そればかりを気にした。
彼女の顔は、マスクのガラスが反射して、よく見えなかった。
見上げると、水面越しに傾いた太陽の力を失くした輝きと、淡い空の色が広がっていた。
秋の空だ。と、彼は上昇しながら思った。
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