受験は情報戦のゲーム | FC雑感記

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サッカー中心のブログから、その時々の出来事などの幅広いテーマを書きたいと思います。「こんな考え方もあるのか」程度に思って頂ければと思います。

「今の大学受験って、昔と全然違いますよね」


​そんな違和感を抱いている親御さんは多いのではないでしょうか。

実はその直感、大正解です。

​特に私立大学の受験において、現在の入試はかつての「純粋な学力勝負」から、ルールを賢くハック(攻略)した者が勝つ「情報戦のゲーム」へと完全に変貌を遂げています。

​今回は、ある高校のリアルな事例をもとに、今の大学受験の「おかしな現実」を紐解いていきましょう。


偏差値45の学科が、偏差値65の学科を「逆転」する怪奇現象


ここに、3つの学科を持つある高校があります。

なお、高校入学時の合格目安(偏差値)は以下の通りです。

  • ​特進科:偏差値65(国公立・難関私大を目指すエリートクラス)
  • ​普通科:偏差値55(中堅大学を目指すボリューム層)
  • ​技術科:偏差値45(専門的なスキルや就職・進学を目指すクラス)

​普通に考えれば、入学時に一番頭の良かった「特進科」の生徒たちが、3年後に難関大学の合格枠を勝ち取るはずですよね。

毎日遅くまで残り、予備校に通い、血の滲むような受験勉強をするのは彼らです。

​しかし、いざ3年後の秋を迎えると、おかしな現象が起こり始めます。

入学時の偏差値が45だった技術科のA君が、誰もが知る有名難関私立大学に真っ先に合格し、片や偏差値65の特進科でボロボロになるまで模試を受け続けているB君は、まだ1つの合格も手に入っていません。

​なぜ、こんな逆転現象が起きるのでしょうか?

その鍵を握るのが、「指定校推薦」という名の制度です。


指定校推薦という名の「席取り合戦」


指定校推薦は、大学が特定の高校に対して「あなたの学校から〇名、優先的に入学させてあげます」と枠をくれる制度です。

校内選考さえ通れば、ほぼ100%合格できます。

​この校内選考で重視されるのは、模試の偏差値ではなく、3年間の「評定平均(学校の通知表の成績)」です。

​ここに、このゲームのバグ(仕組みの穴)があります。

  • ​特進科のB君:周りが天才ばかりの超ハイレベルな環境。テストの難易度もめちゃくちゃ高い。必死に頑張っても、通知表は「3.5」。
  • ​技術科のA君:周りは勉強が苦手な子が多い環境。少し提出物を出し、定期テスト前に少し対策するだけで、通知表は簡単に「4.8」。

​大学側が「評定平均4.3以上の生徒を推薦してください」と指定してきたとき、選ばれるのはどちらでしょうか?

​そうです。

入学時の学力や、実際の偏差値が圧倒的に高いはずの特進科のB君は門前払いされ、技術科でトップを走り続けたA君が、涼しい顔して難関大の切符を手にするのです。


努力の量より「どの椅子に座るか」のゲーム


​「そんなの不公平だ!特進科のテストの方が難しいのに!」

​そう叫びたくなる気持ちは痛いほど分かります。

しかし、これが今の大学受験のリアルなルールなのです。

​現在の私立大学は、入学者の半数以上が一般入試(ペーパーテスト)ではなく、推薦や総合型選抜(旧AO入試)などの「年内入試」で決まります。

​つまり、今の大学受験は「どれだけ勉強したか」という努力の量を競うエグイ戦いであると同時に、「どの学科に入れば、一番ラクに高い評定が取れて、有利な推薦枠を奪えるか」という、ルールを逆手に取ったポジション取りのゲームになってしまっているのです。

​あえてワンランク下の高校や学科に進学し、そこで「無双」して指定校推薦をかっさらう。

そんな「戦略的ハック」をする受験生や保護者が、いま確実に増えているそうです。


​親世代の「常識」を今すぐ捨てよう


昔の大学受験はシンプルでした。

「赤本を解き、偏差値を上げ、1点でも多く取った者が勝つ」。

​しかし、その常識のまま我が子の受験に並走しようとすると、情報戦に負けて足元をすくわれます。

​我が子の通う高校(または志望校)には、どんな指定校枠があるのか?

​どの学科に身を置くのが、我が子にとって一番「ハック」しやすいのか?

​一般入試でガチンコ勝負をする覚悟はあるのか?

一般入試が悪いわけではありませんが、「真面目に特進クラスで勉強していれば、自然と良い大学に行けるはず」という盲信は、今の時代、非常に危険だということです。

これ、就活になると、受験の比でないくらいの情報戦になりますし、「良い大学へ行ったから勝ち組になれるはず」は簡単に打ち砕かれます。

もう、何もかも親世代の「常識」とは違っていますので、しっかり親もアップデートする必要があります。