キャバレーの地下で
日本髪の鬘を被った
おしろいの香りで
不思議の国に来てしまったと
わかった
しがらみのない世界で生きたい
という欲望を持ったのはいつだろう
考えずに生きたいと願ったのはいつだろう
けれど
考えない享楽的な生活など
幻想だとすぐに悟った
礼儀正しい男たちの声が
箱バンの音色にのってくる
私は
自分が細かく砕かれ
流されていく恐怖で逃げ出した
ドスのきいた脅し声の店長に
ひたすら謝り
逞しく美しい女性たちにお礼を渡して
スーツケース1つで駅に急いだあの日
どんな女になったら
私は満足するのか…
あのときのバンドの音楽が流れてくる
注・箱バン
専属の店で演奏するバンド

