Dazed & Confused Korea 2024. 8月号
表紙:NCT 127 TAEYONG


「雑誌が公開される時点は完全に暑い時です。」彼と向かい合って座ったのは日が暮れると気温が下がった、まだ寒い春先の夜だった。
「過去のボクと向き合うことになりますね。」そのような答えをするテヨンのそばには準備した弁当が一つあった。
撮影でご飯の時間を逃したテヨンのために用意しておいた、2018年度<デイズド>に載せられた写真がステッカーで貼ってあるそんなお弁当。
ステッカーにしきりに目がくらんだ。 今はディレクターになった<デイズド>のエディターが6年前にテヨンを直接撮ったその写真を私も長い間好きだったから。


「記憶に残っています。 テン、テヨンで一緒に撮ったじゃないですか。 私がとても好きなマガジンの一つです。 少し幼い少年のTシャツを脱いで、少しは成熟した大人の姿を見せるのがコンセプトだったと覚えていますが、そういうのはその時だけできることじゃないですか。 まだボーイッシュなのに、そんなセクシーさを表現すること。 唯一、一番初々しかった時代だと思います。」
そうしたくていつもとは違うディレクションを与えたというディレクターの言葉が思い出した。

「そうですね。今の僕は『こんな角度ならこんな感じで出る』くらいは知っているからこそ、計算しながら撮影する方なんですが、そんなこともその当時は分かりませんでしたからね。 そのように他の試みを続けてみながら、ある地点で『どう出るのか分かった』と感じました。」
写真をじっと見て彼が一人でプププと笑う。

「あの時はもう少しやせていたな。(笑)初々しかったし、確かにすごく痩せていたと思います。 その時は痩せてもいい年齢、今は痩せてもダメな年齢。 それでも僕はいつも「今この瞬間が一番いい」と思いながら生きています。 今もいいんだけど。。。でも今とは本当に違いますね。」
彼の入隊が1週間も残っていない時点だった。 彼が先に用心深く軍隊の話を切り出した。

「もう軍隊に行かないと。 軍隊に行く準備をしている最中に、本当に多くの方が僕を探してくれました。 「僕、ちゃんとに生きてきた」と思いましたね。 「僕がこの仕事をうまくやり遂げた」じゃなくて、 本当に多様な人たちが気軽に訪ねてきてくれるから、僕が頑張らなきゃと思ったんです。 がっかりさせるのはやめようと思いました。 それで本当に最善を尽くしてみようと思います。」
 それでも春は春だ。 
「今年の春は桜がちょっと早く咲いたような気がします。 いつも春が過ぎていくことも知らずに忙しかったのですが、一昨日のロケ地で見ると、小さな桜の木がもうつぼみを含んでいました。 もっと幼い頃は季節感というものがありませんでした。 一度も四季を練習室の外でまともに感じたことがないんですよ。 春だからこれをやって、夏だからあれをやって、秋にはこれをやって、冬にはあれをやらないと··· こんなことはありませんでした。 でも最近徐々に感じています。 世の中に出てきたような気がしますね。」
心ならずもそんな言葉が出た。

「私は本当にそうです。 本当にそうです」とテヨンはしきりに言った。
いつのまにか午前2時が過ぎた時間、その時もそうだったが、<デイズド>とテヨンは何の理由でこのように夜にだけ会うのだろうか。

「とても忙しいです。(笑)でも正直もうちょっと経験がついてから、夜中の2~3時になっても遅いという気があまりしませんでした。 幼い頃は夜12時を過ぎても一人でいるような感じがしたが。 その感じが良くて、 一人で練習もよくしたりしたんです。 でも今は、2時が過ぎてもその時の感じがしません。」
低い声ががらんとした室内に響いた。 静まり返った夜、もっと忙しくなったのではないか。 夜中の2時にテヨンにとって、 依然としてワーキング·タイミングなのか。

「それよりは、もう少し寂しかったのではないでしょうか。 今は寂しさをあまり感じません。だからかな、夜明けのような感じがしません。 少し疲れるだけ?」
もしかしたら消滅した時間、しかし私たち誰もが過去の時間を全く知らなかったが、ふと後で知ることになる場合がある。
それで、またもしかしたら持続する時間、その時は分からなかったけど、今は分かること、そんな時間じゃないか、限りなく夜とすぐに薄れる朝が唯一交差する時間。 昨日と今日が、過去と現在が交差する、このインタビューがちょうどそのためにある席のようだった。 <デイズド>とテヨンへ。 
それで聞いた。

「そんな質問も受けたじゃないですか。 テヨンはプライドが高い方ですか?と。」
「多分『はい』と言ったと思います。 その時はプライドも野望もとても大きかったです。 今は本当に単純な欲だけが残っています。」
これは覚えてるかな。 「負けてあげられる人になりたいとも言っていました。 実はそれが勝つことだ、と。」
「ああ,そうだ!」とテヨンはまるでよく知っているかのように喜んだ。
 「今、とてもうまくいっています。 本当によく負けています。 その時、僕がすごく賢かったと思います。 何を直さなければならないのか、とてもよく分かっていましたからね。 今、僕はその当時に望んでいた僕になれていますね。 良い大人になりたかったし、それで僕が考える良い大人の基準を決めておいたのですが、今見るとそれが充足されているようですね。」笑いを全ておさめた顔で彼が付け加えた。

「器が大きい人になりたかったんですよ。 一緒に働く人、僕の周りの人たちを心から尊重することができます。 僕も彼らに尊重されるために、自分の仕事をうまくやりたかったです。この仕事は人と人がする仕事ですから。 あ、今日の<デイズド>の撮影は何と言うか··· 家族集めのような感じでした。 面白かったです」
そういえば、シュートに入る直前までスタッフに囲まれていた彼だ。 
通常、距離が少し必要だとか、一人でいる時間を守ろうとするのとは異なり、結局、人と人が会ってすることだということを知っている人だけが知っていることがある。

「そのように生きなければなりません。 今日の現場はすごくフレンドリーじゃなかったですか? そういう雰囲気で働くのが好きです。 皆さんが僕によく合わせてくださったのでしょう。 人らしいことが重要です。 目に見えない何かよりはですね。」
この日、他に感じたのはそれほど騒がしくない撮影現場の雰囲気だった。 歳暮だった。
皆が息を殺してカメラの前に立ったテヨンをずっと見守る間、空気は沈んだり全く硬直しなかった。 お互いを信じているんだな、暖かく感じた。


「僕もテヨンがどうするのか、ただただ見た気がします。 だからもっと興味深かったんですよ。」 
テヨンがこう言った。

「本当ですか? そのようにお互いに面白くなければなりません。 仕事というのは。」
ところで約10年前、SMルーキーズとして初めて公開されたメンバーテヨンは「夢」を尋ねる項目にこう書いた。
「自分のアルバムを自分だけの力だけで作ってみたい。」 「10年20年後になるかもしれないが、いつかは必ず成し遂げるだろう」
そしてちょうど1年と1ヶ月前ぐらい、2023年6月にテヨンは全曲作詞、作曲参加で埋め尽くしたソロアルバム<SALA>を出して一人で立った。
機会を待っている人ではなく、むしろ作れる人だと、遠くから知ったかぶりをしていた。


「何も考えずに直進する方です。 僕は仕事においては悩まない方なんですね。 決めたらすぐ行動に移します。 理解できないかもしれませんが、普通、「これをやらないと…」と決心して動くなら、僕は「これをやらないと…」と思うと体が先に動いています。 「これやって···」っていう時点から、 すでに始まってるんです。 誰かにやれと言われて遅れてやるのではなく。」
間もない2月、2番目に出したミニアルバム<TAP>にはひたすら彼が書いた歌詞だけで満たされた曲が位置した。
パフォーマンスに続き作曲と作詞まで、いったいある時間にある瞬間から

「幼い頃、バレエとロッキングをすべて学びました。 ダンスに対する欲が大きかったので、でもある瞬間、ちょっと体に無理があって「ここまでもいいな」という判断を初めて下したんです。 何かにおいて判断を、僕に対する判断を初めて下した時ですね。」必ず最後まで行った人の言葉だった。

そして、再び始める人の言葉がここにある。
「新しいチャプターでした。 何よりも真心のある人になりたかったです。 ダンスだけでなく、他の多様に表現できるものを探して創作をするのが僕の義務だと思って。 ダンスは、努力すれば上達するものの、作曲、作詞はダンスとはまた違って、より多様なものを要求しているようでした。 「僕がこれくらいルーザーだ」と書きます。
自嘲する気配もなく、すっきりした声で。
10年の起点は何だろうか。 10年の地道さなのか、全力なのか、老練さなのか。 それとも本当に純真さなのだろうか。
テヨンも、ロエベとクリエイティブディレクターのジョナサン·エデンソンも、一緒に10年に近かった。

「何よりも自分の仕事に没頭できる人が輝くと思います。 言えないオーラがあります。 ロエベのジョナサン·アンダーソンもそんな光が出る人です。 単純に挨拶するだけでも、そのエネルギーが感じられます。」
彼が1年に行うコレクションほどでなくても6回だ。
「実は本当にすごい話なんですよ。 でも本当に仕事だけのために生きていくのが本当にかっこいいじゃないですか。 僕も昨年はアルバムだけで6枚を準備したので、似ているかも?」テヨンが笑う。 10年は晴れ。
まだ来ていない夏はどうか。

「あ、僕変わったことがあります。 もともと夏が一番好きでしたが、冬がもっと好きになりました」今日ちょうどテヨンが着たのはロエベの2024年秋/冬服。
「でもこれはちょっとロエベのおかげでもあります。 本当です。元々、僕は季節感のある 服を着る方じゃなかったんです。 ただ夏に汗を流しても暑く着て、冬にはかえって半袖を着ていました。 逆にね。 でも、ロエベの服を着てからは、冬に冬服を着るのが暖かくていいんですよ。いつも覚えている冬が寒いばかりでしたが、ある瞬間冬が暖かくなって好きになりました。」
テヨンはフリースが特に好きだと言った。

「この靴とパンツがついている服が本当に面白かったです。 何気に楽だと思いながら着ました。 文化圏が違うから面白くなるんですよね。 「このように着たら韓国では友達の家に入る時に靴を脱ぐこともできないし、どうしよう?」 こんな想像をしながらですね。」
ロエベが創造する想像をテヨンは本当に楽しんでいるようだった。 創作が義務だと言った彼の言葉がまたかすめた。
「僕は違うものが好きです。 海外公演に行くと、何でも僕と僕が持っているものとは違うじゃないですか。 異文化。 それが僕は大好きです。 「韓国に帰ったら、ちょっと違う音楽が作れる」という自信がついたりもします。」
テヨンがこういう歌詞の歌を歌ったよね。
"まだやっていないことが多すぎる"と。 

「歌詞のままです。 もっと多くの国に行ってみて、もっと多くの公演舞台に立ちたいです。 もっと暴きたいです。 あちこち」
彼の世界は普通より広い。

「10年ほど経って、また会うのはどうでしょうか?」 まるで前回のインタビューを書き続けるようにやりとりして、その時の最後の質問が浮び上がった。 この質問に対する答えも覚えているだろうか。
「ふむ……『いいのではないでしょうか』と答えたのではないでしょうか?」
前回のテヨンの答えを返した。
「とてもいいですね。 僕は機会を感謝する人なんです。」
今のテヨンが続けて話した。
「えっと…(短い沈黙)最後の言葉が すごく響きますね。 何か心配事と、悩みが多い人が言いそうな言葉です。 これは本当に僕という人の考えなんですけど、人が"感謝する"という言葉を簡単に言うのは不可能だと思ってきたんですよ。 それで僕はずっと努力してきました。 「感謝を知らなければならない」と。」
分かるような気もしたし、正直よく分からなくて聞いた。 
「感謝」のような言葉は、簡単にするためには果てしなく簡単な言葉ではないか。
「お母さんの教えがいつもそうでした。 いつも借りを持って生きていかず、何とか努力してすべてを返そうとしたんですよ。 そして、まだ僕に感謝しなさいと言ってくれていました。 僕があれこれ話を打ち明けても、それでも感謝しろと。 そんなことを言われる時は、すごく嫌でしたね。なぜ感謝しなければならないのか分からず、ところである瞬間から「感謝する」という言葉が僕自身にも良いことを知りました。 それを教えようとしたんじゃないかと今は思います。他人に感謝し、その次には自分自身にも感謝することができてこそ、本当に「感謝」という言葉が完成するようです。 それを知るまで簡単ではありませんでした。」
感謝するだなんて、テヨンは「チャンス」みたいな言葉をもっと近くに置くと思ったのに。 だからテヨンは本当にNCT Uテヨン、 NCT 127テヨンだと思っていた。
「感謝の気持ちをつねるとは思いませんでした。」 目の前のイ・テヨンが言った。
「今はチャンスという言葉はちょっと違うように感じます。 もう機会よりは僕が集中することのほうが重要です。 だから僕がいま、楽なんだと思います。 あまりにも多くの機会が絡んでここまで来たのですが, 今の僕は機会だけを追わなくても大丈夫.....成長したんですね。」

やがて時計の針が午前3時を示す。 時間は前へ流れる。ページは進む。 あ、言い忘れたことがある。
「糖分が不足すると、チョコレートをいつも食べていたんです。 今はやめました。 体にとても良くないですからね。 今はチョコレートを食べないので、日程が終わる頃には疲労度が最高調です。」
疲れた様子一つなかった、そんなはっきりとした言葉だけが残る。 この言葉の総合でも、結局完全に説明できないテヨンの姿だけが残っていて。 ただ3時半?4時? ほとんど目が覚めたままインタビューを終えた私に「眠いですよね?」と聞いていたテヨンに。 この言葉をどこに付ければいいのか分からなくて最後にして書く。
一時期休むことなく変化した、成長した、進化した…··· こんな言葉どうですか?
「しかし一方では、僕のコアはそのままだと思います。 僕の本心です。」
その話をする頃、自分も知らないうちに姿勢を正しく直して座ったテヨンが、格別に大きく見えた。
白い海軍の征服を着て、いたるところで捉えられるテヨンの夏の顔。 今ここの肖像、ところで夏には白いのか、一度は通り過ぎるすべすべした坊主頭だけでテヨンはすでに別人のようだった。 
ピンクの髪をした、もう過ぎてしまった春に、カメラの前にロエベを着て全身を使わないところがなかったテヨンは、もう二度と見られないだろう。 
ただし、『デイズド』8月号にいくつかの顔は無事に収められている。 それが非常に幸いだと思われる。
帰ってこない春の夜に聞いた言葉を夏の夜明けの間ずっと文字に移した。 どうりで、誰かがずいぶん前に送った手紙が戻ってきたような気がした。
少し遅れた返事ではないだろうか、テヨンから。