現代では、デスクワークが中心になってます。
しかし、それ故にに座りすぎていると病気や早期死亡リスクが上昇することも問題に上がっています。
日常生活の中で座って過ごす時間が長過ぎると、早期死亡リスクが上昇するという研究結果を、米国のコロンビア大学医学部の研究チームが発表しました。
1回あたりの座っている時間が長い場合でも、死亡リスクは上昇することもわかっています。
そこで 「30分ごとに立ち上がって体を動かすことをお勧めします」と研究者は述べています。
座りすぎの死亡リスクは最大40%増
日本人はどちらかというとデスクワークが多いく、長時間労働により「座りっぱなし」という時間が多いとされております。
欧米諸国で、座りすぎが問題視されるようになったのは2000年以降のこと。
国民病と化した肥満と糖尿病の解消が当初の目的で、オーストラリアは官民一体となり、テレビCMで「脱・座りすぎキャンペーン」の動画を流して警鐘を鳴らすなどの工夫がされております。
イギリスは世界一早く、2011年に座りすぎのガイドライン(英国身体活動指針)を作成。
継続して、「就業時間中に少なくとも2時間、理想は4時間座っている時間を減らして、立ったり、歩いたりする低強度の活動にあてるべきである」と勧告しました。
アメリカでは、シリコンバレーのIT企業を中心に、立ってデスクワークができるスタンディングデスクが浸透し、そのニュースは今も伝えられています。
調査と研究が進むにつれて、座りすぎは肥満や糖尿病に限らず、高血圧症や心筋梗塞、脳梗塞、がんなどの病気も誘発し、死亡リスクを上げることが明らかになりました。
運動をしても相殺できない
日本における注目度も上昇。
早稲田大学スポーツ科学学術院の岡浩一朗教授によると
「がんの場合、座っている時間が長いほどがんの罹患リスクが高くなる。顕著なのは大腸がんと乳がんで、座りすぎによって大腸がんは30%、乳がんは17%も罹患リスクが上がる」
と言われております。
死亡リスクも、座っている時間が長いほど上がる。
「オーストラリアの研究機関が座位時間と総死亡リスクについて調査したところ、1日の総座位時間が4時間未満の成人に比べて、8~11時間の人だと15%増、11時間以上だと40%増、ということがわかった。このパーセンテージは、WHOが推奨する1日30分以上のウォーキングやランニングなどの運動を週5日実施していても、相殺できない」(岡教授)
そうなんです。
「運動してるから大丈夫」ではないんです!
なぜ死亡のリスクが上がるのか
人間の「第二の心臓」と呼ばれている部位があることはご存知でしょうか?
その部位は…実は「ふくらはぎ」なんです。
普段あまり気にとめないふくらはぎ。
実はふくらはぎは、専門家の間では「第二の心臓」と呼ばれています。
ふくらはぎには足腰に滞りやすい血液をポンプのように心臓へ送り返す働きがあり、筋肉がよく動くと全身の血行がよくなるといわれております。
座って脚の筋肉がほとんど動かない間、「第二の心臓」と言われるふくらはぎの活動は停止状態に陥っている…
言い換えれば、下半身に下りた血液を心臓に押し戻すポンプの働きが停止して、全身に酸素や栄養を送る血流が滞ってしまうということなのです。
上の図は、心電図で筋収縮の動きを確認したところ、 筋活動が最も大きいのは歩行と椅子から立ち上がる動作ということがわかりました。
座位に限っては筋収縮の活動は停止してしまっています。
なので、じっと立っているつもりでも、自然と重心移動などを行うため、立位は座位よりも筋肉活動につながると考えられております。
参考資料:岡浩一朗『「座りすぎ」が寿命を縮める』
「その状態が長引くほど、いわゆるドロドロ血と言われる状態になって血栓ができやすくなる。血栓は、がんを含むあらゆる病気に多く見られる血管トラブル。血栓が血管に詰まって静脈血栓塞栓症を引き起こせば、即、死に至るケースもあり得る」(岡教授)
更に岡教授によると
「太ももの筋肉が活動停止状態に陥ると、糖の代謝に関わる機能や脂肪を分解する酵素の活性が低下し、肥満や糖尿病になりやすくなる」ということ。
ふくらはぎだけではなく、太ももも健康維持に欠かせないポイントになってくるようです。
太ももには、人体で最も大きい大腿四頭筋という筋肉があり、この筋肉を動かすことはエネルギー代謝の良し悪しを左右すると考えられます。
日本人は座っている時間が長い
岡教授の研究によると「40~64歳の日本人を対象に調査したところ、1日の平均的な総座位時間は8〜9時間」という。
日本人はデスクワークが多い国なので、それを踏まえると、6〜7時間+昼食と考えるとそれだけども8時間。
更に、自宅に帰り、テレビを見たり、スマートフォンでネット検索やゲームなど。
全て、座って行うことです。
岡教授は「これまでの多くの研究結果を見てみると、1日8時間以上座っている人は、罹患リスクや死亡リスクは高まる可能性がある」といいます。
あくまでも座ることが体に悪いのではなく、座りすぎが体に悪いのです。
意識的に座っている時間を中断するようにすれば、健康寿命が伸びて生活の質も上がることでしょう。
参考:岡浩一朗『長生きしたければ座りすぎをやめなさい』
健康寿命を延ばす座り方
- 30分~1時間に一度、トイレ休憩、飲み物や資料を取りに行く
などのブレイクタイムを取る。
- ブレイクタイムの目安は、30分に1度の場合は3分間、1時間に1度の場合は5分間くらいが目安です。
- なかなかブレイクタイムを取れないときは、座ったままかかとを上げ下げする、膝を伸ばして脚を上げる、脚を上げた状態でつま先をまっすぐ伸ばしたり直角に立てたりする。
私は、時計がアップルウォッチなんですが、30分〜1時間に一度、自分を立ち上がらせるために、時計にアラーム機能をつけて、意識することを心がけております。
パソコンを使用している方は、パソコンのポップアップ機能など取り入れてみても◎
今後も、さまざまな技術が進歩するにつれて生活環境や仕事環境の機械化と自動化は加速し、私たちの身体活動は著しく省力化していくことが考えられます。
寿命は延びている一方ですが、健康的に過ごすことができるかは、私たちの日々の健康意識によって、将来に大きく影響を及ぼすことになると思います。
意識1つで変わってくる未来。
ぜひ、少しずつ意識の改善をしてみてはいかがでしょうか^^?