ねこ嫌いの夫とねこ好きの妻の新婚生活とねこのお話。
どう表現していいのか分からないのですが、
詩人の書いたエッセイなだけあって言葉が本当に面白いのです。
気がふさいでいるときだって、
「鼻白んだ顔をみあわせひとつのクシャミをまるでピンポン玉みたいにかえしあって」
身を寄せ合ったり、
ねこの飼えない環境にいきまいて
「ねこの手をかりてでも倍ははたらくわ。ねこの額ぐらいのひろさがあればそれでいいわ」
と高らかに宣言したり。
その間ねこの生き死にがあり、緩急がつけられるのです。
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そしてこの前この人の詩集を発見し、読んでみたところ
こんなに素直な温かさのある詩を書く人だったんだ、と目を見張ったのです。
なくてはならないものは、けっして
所有することのできないものだけなのだと。
日々の喜びをつくるのは
草。水。土。雨。日の光。猫。
ほんとうに、そのとおりだとおもったとき
世界にぼうっと光がさす詩。
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