こんにちは🌞
最近、筑波大学で行われた研究が競泳界隈で話題になっていますね
質問箱で自分の意見の要望があったため、ブログに書かせて頂きます。
内容を要約すると『泳速が上がるほど、フラッターキックは前に進む推進力に貢献し辛くなる。振れ幅の小さい、しなやかなキックを打ち、水をつかむ上半身の技術を磨くことがタイム向上につながるだろう。』
という事でした。
しかし某記事の見出しは『クロールのバタ足、速くなる効果なし むしろ水の抵抗増』となっており、研究内容との意味の乖離があるように感じました。
自分も見出しを見た時は驚きましたが、内容を読んでみると納得出来るものでした。
次に実験の内容に関してですが、まず〈泳速が上がるほど、フラッターキックは前に進む推進力に貢献し辛くなる〉という部分ですが、先行研究でも示されている通り、泳速が上がると全体として受ける抵抗が大きくなります。したがって、
キックでも泳速が上がるにつれて抵抗が大きくなる
=推進力に貢献し辛くなる
非常に筋が通っていると思います。
次に〈振れ幅の小さい、しなやかなキック…タイム向上につながる〉という部分ですが、泳速が上がるほど抵抗を受けやすくなるため
いかに抵抗を受けないキックをするか
=振れ幅の小さいキック
となるのは当然だと思います。
次に研究の方法ですが、自分はここに少し問題があるのではないかと考えます。
この実験ではキックを用いない試技の際に、プルブイを用いています。
言うまでもなくプルブイは浮力を生む道具であり、通常スイム時の条件と異なっています。
レースの際にも当然ながら、プルブイを用いる事はできません。
キックには主に2つの効果があります。
○前に進む推進力を生む事
○下半身を浮かせる浮力を生む事
です。
プルブイを用いる事によってキックの一要素を取り入れてしまっている事になります。
キックの要素を完全に無くした場合、当然足は沈みやすくなります。
要は
キックによる抵抗か、足が沈む抵抗どちらが大きいのかという話です。
自分は間足が沈む抵抗の方が大きいのではないかと思います。
次の研究ではこの辺りも視野に入れて、実験をして頂けると大変興味深いと感じました。
論文はこちら
https://doi.org/10.1016/j.jbiomech.2018.05.027