クレジットカードは、限度額まで使い切りました。
払えなくなって、リボ払いにしました。
新しいカードも、何枚か作りました。
それでも、
FXやりたい
入金したい
という衝動が収まらなかったとき、
大事なものを質に入れることを思いつきました。
ギャンブルにハマる前、趣味は旅行と写真でした。
大事にしていたカメラがあります。
父からもらったものです。
あのカメラを質に入れれば、
軍資金ができる。
勝って買い戻せばいい。
悪魔のささやきが聞こえました。
でも、それはさすがにできませんでした。
カードを限度額まで使うことにも、リボにすることにも、
新しいカードを作ることにも、迷いはありませんでした。
でも、あのカメラだけは、違いました。
父からもらったものを手放すのは、
親を裏切るような気がしました。
それに、あのカメラを手放したら、
自分が完全に自分ではなくなる気がしました。
なぜカードは平気で、カメラはだめだったのか。
正直、今もうまく説明できません。
合理的に考えれば、おかしな話です。
金額だけで言えば、
カード数枚分の借金のほうが、
カメラよりずっと大きかったはずだからです。
カードで作った借金は、いくらでも先延ばしにできる数字でした。
でもカメラは、旅行や写真が好きだった、
ギャンブルを始める前の自分そのものでした。
それを手放すことは、お金の話ではなく、
自分自身を手放すことに近かったのかもしれません。
カードの借金は、あとから取り返しがつくかもしれない、
という感覚がどこかにありました。
働いて、返せば、なかったことにできる数字だったからです。
でも、カメラを手放したら、
旅行や写真を楽しんでいたころの自分ごと、
取り返しがつかなくなる気がしていました。
あの一線があったから、
私はまだ、完全にはいなくならずに済んだんだと思います。
もし今、いろんなものを手放しながら、
それでも続けている方がいたら。
どうしても手放せない一つが、
まだ残っているかもしれません。
それは、あなたがまだ、
あなたでいるための最後の場所かもしれません。
どうか、自分を完全に見失う前に、
思いとどまってほしいと願っています。
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