男は家族の手前、突然遭った女に声をかけられなかった。
でも、女がどうしているのか、別れた時と現在を結びつけたくて、
どうして、視覚を失ってしまったのか、知りたくて、純で熱心な男だから、女がどこに住んでいるか
ついに突きとめる事が出来たが、
分かれるときに、
勉強したいから三十五六までは、妻帯はしないと宣言していたのにもかかわらず、
学校を卒業すると同時に結婚したのもあって、自分では遭いにゆけなくって
親友に変わりに女の所に遭いに行ってくれるように頼みこんだんだ!!
物数寄なその親友はその馬鹿らしいお使いを引き受けた。
男は、友人が遭いに行くときに、土産の印だといって菓子折りと今のお金で十万のお金を包んで持って行ってもらう事にした。
女の家は小ざっぱりそして住み心地のよさそうな家で決して貧しそうではなかった。
実際、友人が女に遭った時は、それは気まずいようだった。
来たいきさつを話して、挨拶をすると、女は丁寧なあいさつを返した。
早速持ってきた菓子折りと金一封の水引を差し出した。
手さぐりで、その紙包みが判ると
女は
「私は今は一人ものだけれど、この間までれっきとた夫もいて、子供も丈夫に育っていて、
どんないわれがあろうとも、楽に今日過ごせるようにしておいてくれた夫の位牌に申し訳ありませんからお返しいたします。