前任者がそこまでの考えをもって生徒と接していたとは考えにくい。

それは生徒達の現状が物語っている。


ただそれを嘆いている時間はない。


コンクール地区大会まで4ヶ月切っているのだ。
有名校がやってるからうちも真似してやってる。


そういった経験は少なからずあるだろう。

でも、よく考えて欲しい。

楽器の実技は単なる『練習』だけでは上達はしない。

必ず、『理論』が必要なのだ。


理論も無くただ単に音程をつけ、全体で合わせても『音楽』にはならない。

それはただの『音』なのだ。


一つの練習方法の『本質』を見抜けない人に指導はできない。


今、日本中探してもそれができる先生は十数人しかいないだろう。
『一刻高校がその練習やってたんで、うちも真似してるんですよぉー』


30代後半のお局のような先生だ。

一刻高校は支部大会出場、全国大会まであと一歩という、比較的レベルが高い高校だ。


その時は『そうですか。』とだけ答え、練習を進めた。