2013年公開にしては古めかしい雰囲気のある映画だなーと思って観ていたのですが、後で調べたら1953年に公開された「東京物語」って映画のリメイクだそう。

 

この映画を観て思ったことは色々あるけれど…特に印象深かったのは、あの時代の人って、女性に対して、特に若い女性に対して「かわいそう」って感情無いの?ってこと。

 

(以下、役名だと説明分かりづらいので、役者名で言いたい事を書きます。文句はすべて、その役の人柄について。演じている役者さん本人の人柄とは何の関係もありません、当然のことながら)

 

物語は、一組の老夫婦(橋爪功・吉行和子)が主軸となって進んでいくんですけど、その夫婦の二人目の息子、妻夫木くん演じるフリーター的な若者の彼女(蒼井優)に対する登場人物の描写がまあひどい。

 

 

まず妻夫木くんが吉行和子(母)に蒼井優を紹介するシーン。

 

吉行和子は意外にキレイに整頓された部屋を見て、何故かと妻夫木くんに問う。そこに優が登場、妻夫木くんは「ボランティアみたいなもん」と優を和子に紹介する。

優を気に入った和子は「うちの息子、お金の使い方がおかしいんですよ」と優に忠告。すると優は「私、彼のそういう所も好きなんです!」→和子、感動。

 

 

その後、和子は急逝してしまう。老夫婦の家にて葬儀その他いろいろを行うシーン。

まだ入籍もしてないのに葬儀を手伝いに行った優。その優に対して無視するなど態度が失礼過ぎる父(橋爪功)。

その後、父(橋爪)は優に対して、和子の形見をあげる。→優、感動。

 

おかしいよね?赤の部分。

 

 

男のダメな部分、愛してるからってそのまま受け入れてたら、二人してダメになってく訳だけど、息子のダメな部分を盲目で受け入れてる彼女(優)に対して感動しちゃってる母(和子)。

 

まあそれもそのはずで、和子も人に対して失礼な態度を取りがちな夫(橋爪功)をずっと許してきたんですよね。それが葬儀の場で優に対してすべて出ちゃってるわけだけど…

 

そんな失礼な態度を取られても、形見をもらって感動する優。

 

怖いのは、これ、終始美談として描かれてること。

優をどんな風に扱っても許されるみたいな感じ。

どんな風に扱っても最終的には許してくれるからオッケーみたいな感じ。

優は「許してくれるからいい女」みたいな感じ。

 

1953年の映画だから、いわゆる歴史ものってところで、昔の夫婦関係、カレカノ関係なんてこんなもんだったよってことなのかもしれないけど、こういうの見せられるとねー、男のダメな部分を「良いこと」みたいに描いてるの見せられるとねー。

 

なんか何にも尊敬できないし、いいなとも思えないし、役者さんの演技はもうさすがというかすごい良かったのに、全然感動できなかった…

 

いつも思うんだけど、歴史ものとか年代物って、すごくいい映画でも、男女関係、とくに恋愛関係が出てくると途端に興ざめってなる場合多すぎる。今回に関しては「家族」がテーマだったから男女関係のあれこれが一つの主軸だったから、最初から最後まで、なんかモヤっとしながら観てたなあ。

 

でもこのモヤっと感って、現在進行形でこの世にあるものなんだよね。

 

つい最近、フジのドラマでやってた「結婚相手は抽選で」。全話観て、このブログに感想を書いたんだけど、この映画を観て感じたモヤっと感は、2018年公開のあのドラマにも普通に存在していたから…

 

1953年の女性描写、2018年の女性描写、自分の中で、何がそんなにダメなのか、引っかかるのか、もう一度自分の中で整理する必要がありそう。そう思った今日でした。

 

 

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