それは何でも望みが叶う薬です。
私の主人の最後のプレゼントです。



う・・・・・面白かったーーーー!!!
ずっと読むのを我慢していました。
というのもおわりの章が出るので、それが出る直前に読んだ方が
内容を忘れないでいられるかなーっと思ったんですが・・・

面白かったというかね、
もう、切ないんですよ!!・°・(ノД`)・°・
木原さん独特のあの痛さはないものの、
そのかわり切なくて切なくて・・・

一人の老人が亡くなって
その葬儀のあと最後の晩餐に呼ばれたのが3人の青年・少年と1人の少女。
しかしその4人は特に老人と親しいわけでもなく
はっきり言ってあまりよく知らない人なわけですよ。
そして晩餐が終る時、老人と共に暮らしていたらしい青年が皆にプレゼントだ、とある真珠のような薬を二つずつ渡す。
それは「願いが何でも叶う薬」だったのだ。
マユツバものと思ってもそれを受取る4人。

その薬は果たして本当に願いを叶える薬なのか?
4人の叶えたい願いとは何なのか・・・


木原 音瀬著「パラスティック・ソウル-はじまりの章-」
パラスティック・ソウル ~はじまりの章~/木原 音瀬
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舞台は近未来、国と国境制度が廃止され、犬耳・犬尻尾を持つ人類が誕生した世界。とある天才科学者の作った願いの叶う薬から始まる、五つの“愛”の物語 —。とある科学者の葬儀に招かれた四人は“願いの叶う薬”をもらう(「プロローグ」)。「君の気持ちは偽物だから」—ジョエルは、結婚式をすっぽかした恋人に意外な告白をされる(「fake lovers」)。芭亜斗は父の遺産の在り処を聞き出すため、兄・祁壜の遺体を掘り起こして“薬”を飲ませるが—(「dear brother」)。五歳児前後の知能しか持たない少年ニコラスと、人間並みの知能を持つ老犬ジョンはいつも一緒だった(「eternal friend」)。


何でも望みが叶う薬ーーー。
それを渡された4人の運命。
どの話も切なく彼らがどうか幸せになるように・・・と願わずにはいられない。

この話には新しい人種ビルア種と呼ばれる人種が出てくる。
ビルア種とは人類を激減させたとある奇病キネッサに対抗するために作られたワクチンの副作用でできた人種なのだ。彼らは犬耳と犬尻尾を持つ。ワクチンが犬の血清から作られたため、ワクチンを打った女性が妊娠をするとそのDNAに作用するのか犬の耳と尻尾を持つ子供が生まれるようになったのだ。
そしてビルア種の中でもハイビルアと呼ばれる高知能を持つ天才が生まれることがある。
しかし、ハイビルアはただ一つの例外なく30歳くらいになると、突然それまでの知能知識記憶をなくし
5歳程度にまで知能が後退してしまうのだった。


第1話《fake lovers》
同性婚が認められているこの時代、ジョエルは結婚式当日、相手の八尋に式をすっぽかされてしまう。
ジョエルは八尋にゾッコンでやっとの思いで八尋と付き合うことになったのだが、
もしかしたら八尋は違ったのだろうか・・・・と昔を悔やむジョエル。
そして結婚式をすっぽかした八尋から呼び出されたジョエルは案の定八尋から
「別れて欲しい」と言われる。
実は昔はジョエルはとーーーっても嫌ーーなヤツだったのだww
大学の同じゼミをとる2人だったが、貧乏でビルア種である八尋をバカにしていたジョエル。
ジョエルにことあるごとにつっかかり嫌味を言っていた。
優秀である八尋に対し、ジョエルは父親のお金にものを言わせやりたい放題。
大学だってまともに通っているわけじゃないし、もちろん授業だってまともに出ていない。
テストだってちゃんと受けない、それでも特Aをもらえる。
すべては父親の財力のおかげだ。
そして決定打となった出来事が。八尋は実はゲ/イであることをとあることから知ってしまうジョエル。
そしてジョエルはその彼の恋人を他の人間に奪い取るように仕向けさせてしまうのだ。
当然落ち込む八尋。それに追い討ちをかけるかのように傷つける言葉をかけるジョエル。

正直、ここまで読むとジョエルはクズ以外の何者でもないww
なのにどうしてこの2人が結婚までいくようになったのか、すごく興味がそそられてしまうのよね。

もちろん、八尋もやられっぱなしじゃない。
とはいえ、八尋に人を貶めたり暴力を振るったりなどできるわけもなく、
八尋がやったことは・・・・・そう、例の薬を飲ませること、だったのだ。

あの4人のうちの1人は八尋だったのね。
八尋は酔っているジョエルに水を渡す時にその薬を入れ交ぜた。
「自分を好きになるように」と願いを込めて・・・・

もちろん、これが本当に願いが叶う薬だと信じて使ったわけじゃない。
ささやかな八尋の反抗だったのだ。
自分を卑下していた相手が自分を好きになって振り回される・・・そんな状況をちょっと楽しんでやれ的なものだったのだ。
ところがその薬のせいなのか、どうなのか、その日を境にジョエルはやたらとビルア種の人間が可愛く見えてたまらなくなってしまったのだ。もちろん八尋は格別にカワイイ。
だけど、これまでの自分を振り返ると到底褒められたもんじゃない。
だから八尋に認められたくて、真面目に勉強をし、悪い遊びもしなくなり、とにかく八尋一筋になるのだ。
そんなジョエルを周りが認めはじめる。
最初は当惑する八尋もジョエルの優しさに徐々に心がほだされてしまって・・・・・・

もう、わかりましたよね。八尋が結婚を断った理由。
八尋もジョエルのことを好きになってしまった。でも、ジョエルが自分を好きなのは薬のせいかもしれない。
そしてその薬の効き目がいつまで効いているのかわからないのだ。
ある日、突然、夢から覚めてしまうかも知れないジョエル。その時、八尋は耐えられないと思ってしまう。
だから全てを打ち明けたのだ。お前の自分への気持ちはまやかしなのだ、と。
それを聞いて一笑に付せるジョエル。ならばもう一つ残っている薬を飲もう。
今すぐ、前に飲んだ薬の効果が切れるように、、、と。
それでも自分の八尋への気持ちが変わらないと自信があった。それで八尋が安心できればと思ったのだ。
そして二つ目の薬を呑み込むジョエル・・・・・

全部が解決されているわけじゃないです。
このあとは読み手が想像するしかない。ジョエルは確かに八尋への愛情があるものの抱けなくなってしまったのだ。でもそれが薬の影響なのかどうなのか。もちろん、その薬自体本当に効くものなのかどうかもわからない。
ただ一つだけ言えるのはロクデナシが良い人になったことだけは事実。
それだけでもとってもいいことを八尋はした、と言えるんだけど・・ww
八尋の犬耳と尻尾が彼の感情に左右されてピクピク動いたりフリフリしたりするのがとっても可愛かったww
普段、八尋ってポーカーフェイスなので感情がそこに現れるのがいいんですよ。
しかもこの尻尾をもふもふするのがジョエルのお気に入りだったんで、貧民街で八尋が尻尾狩りに遭った時、必死にこの尻尾を守ろうとしていたのが・・・。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。


第2話《dear brother》
芭亜斗(バート)が深夜地中から掘り起こしたのはなんと自分の実兄祁壜(ケビン)の死/体だった。
防腐がほどこされているそれは腐ることなく掘り起こすことができた。
芭亜斗はお金がどうしても必要だったのだが、父親が遺言としたのが
「ロウゾの鍵を持つ者に遺産を託す」というものだったのだ。

先日そんなに親しいわけじゃない老人の最後の晩餐でもらった薬。
願い事が叶うだなんて信じていたわけじゃないが気まぐれでそれを一粒あげた女性が
一晩で美しくなったのを見てもしかしたら・・・と思ったのだ。
なので鍵のありかを知る兄を掘り起こし、この薬を飲ませようとしたのだ。
でもどうやら把亜斗は祁壜が嫌いらしい。遺/体の扱いがとっても雑。雑っていうか蹴っ飛ばしてるし!!
遺/体にどうにかこうにか飲ませ、そのまま眠りについた芭亜斗。
そして翌日、兄が蘇っていたのだった・・・

蘇りをしてからは兄・祁壜視点に変わります。
当然祁壜は自分が死んでいるだなんて思ってもみていない。
小さい頃はとっても仲の良かった兄弟だったのに、いつしか歪みができてしまい、
今では弟からとっても憎まれるように・・
この2人が幼い頃の話はキュンとしてしまいます。
母親は芭亜斗を産んで亡くなっているので幼い兄弟は父親と三人暮らし。
でもベビーシッターに虐待を受けていた芭亜斗は人見知りで兄から離れようとしなくなってしまったのだ。
そんな把亜斗を祁壜は大変だ、と思いつつも可愛くてたまらない。
だけどある日祁壜は知ってしまう。祁壜は両親の養子でまったく血の繋がりがないということを。
だから本当に両親の血を惹く芭亜斗が羨ましく、そして自分に懐いてくるのが鬱陶しくなってきてしまったのだ。
そんな兄の態度の変化に敏感に感じ取る芭亜斗。そしてどんどん2人の距離が遠くなってしまい・・・
芭亜斗は悪いことに手を染めるようになり父から勘当まで言い渡されてしまった。
ますます兄弟の確執は深くなり。

2人の昔の仲睦まじい姿が逆に悲しくなってしまいます。
こんなに寄り添って生きてきたのに・・って。
だけど、2人は和解できることができた。
だって、もともと愛情が深かったから余計に悲しみと苦しみが相まって互いに憎しみが強くなってしまっただけなのだ。だからその愛情を認めてしまえれば・・・・

だけど所詮祁壜は死/体だ。この世のものではない。
わかりあえた、ようやく大好きだった兄に素直になれた・・と芭亜斗が思った次には・・・
祁壜は物言わぬ遺/体の姿に・・・

このまま兄を失いたくない!なんとかあの薬を・・・・!!
ラストシーンが切ない、涙が出そう。
これは一応BLではないですよね。
疑似っぽいものは出てくるけれど。おわりの章で何かあるのかな。



第3話《eternal friend》
これが一番、私の心にキュンときたかも知れない。
もうどれもこれも切ない話なんだけどさー。

この話は犬であるジョン視点です。
本当の犬ですよww ただしこのジョンは知能は人間並。
だからハイビルア研究所で飼われていたんだけど、ジョンは自分が研究の対象で
人間に対してもいい感情を持っていないのだ。
だから、ある時から普通の犬のように振る舞うことにしたのだ。
これまで人間の言葉を理解し、ある機械で自分の気持ちも人間に伝えることができたジョンが
普通に犬になってしまったと思った研究員たちの落胆は計り知れなかった。
決して知能が高いままであることを悟られないように、振る舞うジョン。
だけどそのジョンが唯一心を許す人間がいた。それがニコラス。

ニコラスは15、6歳だろうけれど知能は5歳児程度。
言動もやることもとても幼い。だからこそ、その瞳に邪気はなく心がとても清らかなのだった。
ジョンはニコラスのベビーシッターをしていた。
それこそ赤ちゃんの時から一緒にいた一人と一匹。危なっかしい赤ちゃんニコラスの面倒を見てきたのはジョンだ。
ニコラスはこの研究所でずっと面倒をみてもらっている。代々の所長が彼の後見人だ。
でも知能が低いニコラスができることといったら庭仕事くらい。
それでも一生懸命やっている姿がとても微笑ましい。

だけど、ジョンはこの研究所で秘密裏に行われている人体実験を偶然に知ってしまう。
しかもそれが政府機関にもしかしたらバレてしまうんじゃないか、、という一大事が起きてしまうのだ。
焦った彼らがとった行動とは・・・
夜、研究所員の一人がニコラスのもとにやってきてケーキを置いていく。
喜んでそれを食べるニコラス。そしてすぐに眠ってしまったニコラスだけど、何か焦げ臭いニオイがする。
研究所が火事になっていた。必死にニコラスを起こすジョンだけど一向に起きる気配がない。
そこで気付くのだ。あのケーキに睡眠薬が入っていたことに。
なんとかかんとかニコラスとジョンは逃げ出すことに成功。
でもなぜニコラスが殺されなきゃならないのか、それは謎のままだ。
ただなんとなく人体実験に係わっていることがそれとなく読み取れる。
(私、もしかしたら、、、と思っていたんだけど、そのもしかしたら当たってとっても悲しくなってしまいましたよー)

命からがら逃げた2人だけど、もう帰るところがなくなってしまった。
途方にくれるニコラスだけどジョンがいるから平気と言う。
そしてニコラスが取りだした宝物を自分とそしてジョンに差し出す。
それはあの何でも願いが叶う薬だった。4人のうちの一人の少年はニコラス。
ジョンが願うことは自分が人間になること。老犬であるジョンは余命幾許もないことを知っていた。
だけど、こんな状態のニコラスを一人にはさせられない。だからニコラスと同じくらいの少年になってずっと共にいれる道を望むのだ。
翌日、目が覚めたジョンは自分の姿に驚く。人間になれたのだ!
喜ぶジョンはニコラスに信じてもらえないかもしれないけれど・・・とジョンであることを訴える。
だけどニコラスから発せられた言葉は・・・・・ワン!

私はここで涙腺が緩んでしまいましたよーーー!!。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。
ジョンが人間になることを切望した時、ニコラスが最後に望んだことは
ジョンの言葉を理解したい、、、だったのだ!

そして犬語しか話せなくなってしまったニコラスを養うことになったジョン。
ある日、ジョンは自分とニコラスに隠された秘密を知ってがく然としてしまうーーー。


この話もどうなっちゃうのかな。
おわりの章にも出てくるんでしょうか。

どの話も本当に切なくて、やっぱりおわりの章が出る直前に読んでよかったと思いましたよー。
だってこれ読んだらおわりの章が気になって仕方ないですもん!!

というわけで、本日、購入してきたので早速読もうと思います!!

ああ、皆、幸せになって欲しいんだけど、
なんせ書いているのが木原さんなのでそこがドキドキしちゃう理由の一つでもあるんですよねー。
切ないままで終るのか、それとも幸せなハッピーエンドを迎えられるのか・・・


H度ドキドキ(1話目しかHシーンはありません)
ストーリー度満月満月満月満月満月
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初回特典付【CD】「パラスティック・ソウル」ドラマCD/木原音瀬
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fake lovers
ジョエル: 小野友樹
八尋: 武内 健 ほか



ペタしてね

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