薔薇色の人生

木原さんって本当に
いい意味で色々と裏切ってくれるんで
先が読めない展開に
いつもハラハラしてしまうんだよね。

今回も攻めが本当に考えなし・・・
いや、考えたうえで間違った行動をとってしまうんで
またもやハラハラさせられちゃったよ～。

どうしようもないロクデナシ・・・いわゆる社会のゴミと呼ばれても
仕方ないような攻めが
生真面目警察官と出会って、
愛する悦び、生きる幸せを感じていく、まさに薔薇色の人生を歩む話。

ＢＬは読者のほとんどが女性ということもあり
やはり少女漫画の延長上で
見目麗しい男たちが多いものだけど、
木原さんはそういう路線からあえて外れて書くのよね。

カッコ悪くてもヘタレでもクズであっても
それさえも愛おしく感じてしまう。

木原マジックの詰まった一冊です！！

木原　音瀬著「薔薇色の人生」

薔薇色の人生 (ビーボーイノベルズ)/木原音瀬: ￥1,155; Amazon.co.jp

愚かな生き方のせいで、家も家族もなくしてしまった百田。生きていても仕方がないと自棄になりかけた時、偶然通りかかった警官に制止される。生真面目な正論に腹を立て、その警官・浜渦に「抱かせろ」と無理難題をふっかけるが、彼はすべてをなげうち、百田を救ってくれた—。彼のために生きることを誓う百田だったが…。ひたむきな恋がすべてを変えていく。大人気のモモ×ロンちゃんシリーズ!書き下ろしショートつき。

モモは前科者。しかも三犯。
いずれもヤクをやって捕まったのよね。
ヤクってのは、やめようやめようと思うものだけど、
脳が快楽を覚えているので、あと一回だけ、それでやめよう・・・・と思い
また手をつけてそして泥沼にはまる・・・・・というパターンが多いらしい。
なので、再犯が多く、またそれを狙って
出所してきたところを売人が声をかけちゃうらしいのよね（テレビで言っていた）

脳が指令を出しちゃうんだから、
それを凌駕するくらいの強い意思がなければやめられない。

なのでモモがヤクをやめられたのは
なんといってもロンちゃんへの愛が
脳の快楽指令を上回ったということなんだろうね！

すごいな～！！

とにかく若い頃からロクな生活をしていなかったモモ。
家族にも見放され、やけっぱちになっていたというのもあった。
そして今度こそ真っ当に生きようと決意した矢先、
自分のいた刑務所に親が面会しに来ようとして、途中事故に遭い亡くなってしまった。

自分が愚かだったためになくしたたくさんのもの。
絶望のドン底にいたモモは死のうとしていた。
でもそこでモモを引き止めたのは生真面目な警察官・ロンちゃんだったのだ。

そう、ここからがモモの人生逆転劇が始まるのよね！

モモはさ、ＢＬにはあるまじきブサ男、
おまけにヤクで捕まった前科者。
人生を投げていたモモは、最初こそロンちゃんに嫌がらせのつもりで
付き合っていたんだけど、
これがメロメロになっちゃうのだ。

あ、そうそう、この話、モモとロンちゃんは既に恋人同士というところからスターとするの。
そしてちょこちょこっとモモの過去や二人の出会いなんかが
エピソードとして語られていく、、、という感じ。

恋人同士というところから始まっているので
二人がすんごくラブラブラブラブラブラブラブラブ・・・・（以下同）
であることはとってもよくわかった！ww

特にモモはもうロンちゃんにメロメロ。
モモの薔薇色はロンちゃんなのよね！

とにかくロンちゃんのために悪い事にはもう二度と手を染めない！
それを固く守っているモモ。
だけど、ロンちゃんを愛するあまり
危ない橋を渡ろうとしちゃうのだ。

ロンちゃんはとっても真面目な刑事さん（出会った時は派出所のおまわりさんだったんだけどね）
そのロンちゃんはモモのどこに惚れたのかな？と
最初の出会いから遡ると疑問に思うんだけど、
これは理屈じゃないのよね！
警察官の義務として死のうとしていたモモを助けたロンちゃんだけど、
だからってそれまで男と経験皆無のロンちゃんが
モモと付き合えるわけでもなく・・・

一言で言うならば、憎めない、、、、とでも言うのかなぁ。
健気だし、ロンちゃんに対してはとっても誠実だしね。

また木原さんの書き方が上手いのか
本当にモモが読んでいる側にも
おバカだけど一生懸命でいじらしく可愛いキャラに
思えてくるんだよ！

最初はモモ目線で語られ、
次にロンちゃん目線での話があり、
最後はロンちゃんの先輩刑事から見た二人という目線での話。

この三段論法も
それぞれ、愛情の深さをまた認識させられていいんだよね～。

モモはロンちゃんによって癒され、薔薇色の人生を歩めるようになり
私たちはそんなモモ×ロンちゃんの姿を見て
幸せな気持ちになってしまう。。。

いいお話でした