【俺たちのびわ湖毎日マラソン2020小説編】 | 湖国戦士琵琶湖マン

湖国戦士琵琶湖マン

2016年10月1日から15年のブランクを経て、本格的に再始動。走り始めて1年1ヶ月の初マラソンで2時間54分08秒でサブスリー達成。2年1ヶ月の2時間29分15秒で、夢であるびわ湖毎日マラソン2019に出場して、夢が叶う。次の目標は、2時間20分以内!YouTubeもやってます。




「一つの花となり、咲き誇れば、さらに大きな大輪の花が咲く」


心のどこかにある、世界に一つだけの花。

これが僕にとってのびわ湖毎日マラソンの花言葉である。





"昨年の自分を超えろ"
これをテーマに1年間やってきたんです。

小さな蕾が、目には見えないけど、

少しずつ、少しずつ、大きくなっていく

負けないように、枯れないように、笑って咲く花になろう!という歌詞があるように、



笑顔で走り切るというもう一つのテーマ。


「自分は強くなったのか?」
強く、そして、逞しく、咲き誇ることができるのか!?

1年に一度の発表会!だから、「緊張はしてない!」って、言っても多少はするもの。

1年前の初出場から、365日のカウントダウンが始まって、目まぐるしく昨年の記憶が呼び起こされ、

「これでいいのか?」って自問自答をした数と日々は、数えきれない、でも自分の時間軸以上にその刹那、覚醒の時がきた。本当に昨日のことのように、思えれば、どこか懐かしさもある、昔々のことのようにも思える。

ラスト1週間!!
5日、3日、いよいよ明日?とカウントダウン、そして迎える決戦の日。

2020年3月8日

びわ湖毎日マラソン!!
やってきたぜ!
ワクワクしてる、ドキドキしてる。

この日は、"かけがえのない"
忘れられない1日、人生にとっても、大きな1ページになるんだろうって、そんな空気感が漂ってる。

「ただ、練習はしてきたが、ちゃんと走れるのか?」
不安は可能性がある限り、つきもので、

その可能性の部分の9割は、「自分が掲げてる目標をクリアできるのか?」というもの。

もう、わかってることだけど、昨年より圧倒的な余裕度と戦闘力を見に纏い、心もカラダも充実していて、やってきたという自信が漲っている。


ブログを書くにあたり、何をどう、まとめたら良いのか、想いが強すぎて、錯綜しました…。。。
1年前も同じ(・Д・)えっ!成長してない?笑

だからね。

涙の色も、流した悔し涙も、嬉し涙にかわる瞬間があるように、

俺が枯れなかったのは、そういう汗と涙があったから!!

どれだけキツイ練習をしてきても、この日のためにやってこれたし、1秒たりとも忘れてない

「お前のことが好きなんだ。」ってくらいね…えっ!唐突にドキッとした?

昨年の春から夏にかけ、怪我をして、正直、もうダメかと落ち込んだこともあって、人知れず泣いた。

ただ、どの涙も、花を咲かすために、強くなるために、必要な情熱を注いできたんだ。
って、今なら言える。



本当に、"愛してくれてありがとう"



さぁ、咲き誇れ!!

「1人はみんなのために。みんなは1人のために。」
という昨年のレースとは違って

「仲間はみんなのために、みんなは仲間のために。」

というのが今年のレース、似たような言葉だけど、

昨年との違いは、やはり!自分以外の、仲間と目指したスタートラインに立ち、同じゴールを目指すということ。

そこにある想いはそれぞれだけど、やってきたことをずっと信じて、たどり着いたグランドライン!!

地元の選手、そして、市民ランナーであれば、誰もが憧れる夢の舞台!!

決して簡単なことではない。ここに辿り着くのは、厳しい条件をクリアした、ほんの一握りのランナーのみ。

辿り着いたものだけがみれる世界!!

「一人で見る景色より、みんなで見る景色」
辿り着いた先に何があるんだろうか?こんな好奇心で、胸がいっぱいになってる。

もうすぐ、スタートに立つのに。。。

溢れんばかりの気持ちは、もうフライングスタートをしてる、笑笑

俺たちのびわ湖毎日マラソン
が始まろうとしてる。

「なんだろう?」

"走ることで、自分を表現したい!"って、
心から思える、その最高の舞台が、びわ湖毎日マラソン!!

そして、夢を叶えるために目指した仲間との2人何脚?か、わからんが、なんとも頼もしく、何とも心強い、未だかつてない感情の中で、人生で7回目のマラソンという構想曲が始まろうとしてる…

どんな音色、どんなリズム、どんなエンディングを奏でるのか…

号砲が近づくにつれ、不安というより、期待が膨らんでくる。

夢の舞台!!365日の想い。
ここに辿り着くまでに、流した汗と涙は数えきれない。でも、やっててよかった。

昨年は、夢であったこの日を迎えるために、全てをかけてやってきて、何もかもが初めてで、「夢が現実になるのか?」
と、もう、緊張しすぎて、震えが止まらなかった、苦笑

そのときに、ゴールして思ったんです。
僕は、1人より2人、2人より3人って、

もっと、この地元開催の大会に、もっと、たくさんの仲間と走りたい!!
っていう気持ちが芽生えてから、

この気持ちを絶やさずに、1年間ね、「自分のできることは、なんなのか?」を考えて、自分のためでもあるが、そこを目指す仲間のためにも

自分が走ったことで、この舞台を本気で目指した選手が増えて、結果的に、今年は、一歩届かなかった仲間もいれば、夢が叶った仲間との明暗がわかれたが、

その情熱の渦に、自分も良い意味で巻き込まれたこと、

だからね。大袈裟かもしれないが、出れなかった選手の分の想いを何倍にも背負って、戦おうって思えたのも、昨年との大きな違いなんです。

レースに出る仲間と、出れなかった仲間
そういう光と影をみたから、

俺たちのってタイトルにしたんです。

滋賀県代表として、彼らに背中をみせたいんだって

そんないろんな想いを胸に、びわ湖毎日マラソンの2回目のスタートラインへの挑戦が始まろうとしている。

目指したその先に…何が待ってるのか?

スタートの号砲は、昨年は、12時30分
今年は、9時15分スタートと変更。

全国から251名のランナーが集結(昨年222名)
滋賀県からは11名(2名欠場)

天候は…
2年連続2回目の雨∑(゚Д゚)
ここは、連続じゃなくていいだろ、しかも、昨年よりふりしきる雨で、事前から雨予報ってわかってたけれども、

「いや、晴れるんじゃない?」
と心のどこかで期待してましたが、無情の裏切りというか予定通り雨、苦笑

とうとう、この日がやってきた。

"俺たちのびわ湖毎日マラソン2020"

ゼッケンは、248から247になり、公約通り1つレベルが上がった。えっ!

前日の夜、緊張感はなく、そして、当日の朝。

「やれることはやった。しっかり準備はできた」

「寝れないかな?」
って思ってたけど、爆睡!!昨年は自律神経が高まって全く寝れず…

この時点で、「俺?成長してる!」って思った。
やはり、2回目ってのは、経験してるから余裕度は違うなぁ〜って、頼もしい自分がいた。

そうなんです。
7回目のフルマラソンになるんですが、同じマラソンを走るのは、今回初なんですよ!

昨年は、「ここまで来たんだ。」という心境と、今年は、「ここに戻ってきた。」という感じ

なんでもですが、初めてって不安ですよねー!

スタートの1時間前。。。

今回の違いは、なんといっても、同じ舞台に立つ仲間が増えたことと、全国から集結する知り合いのランナーが増えたこと。

それでも、滋賀県勢で初の舞台(川西選手)や5年ぶりの仲間(ガチランのクロロ)の緊張感が、昨年の初出場だった自分とリンクして、緊張が少し伝染していく

特に、てるみん練習でお馴染みの、クロロことQちゃんとは、夢に描いた物語の一つの完結であり始まりでもある。

これは、フィクションじゃなく、ノンフィクションとして、形になっていく・・・

そして、控室や会場で、仲間と出会った時に、練習してきたこと、かけてきた想いの背景や表情、その背中をみて、

抑えてた感情が溢れ出しそうになった。

スタート前から、目頭ウルルン滞在記…
もう、振り返らないでおこうか!笑

やはり、この舞台は、特別な何か違う魔物がいるようで、他の大会とは、地元を贔屓にしても、別次元の世界…

そして、コロナウイルスの影響もあり、自粛モードという、なんともめでたい舞台なのに、めでたくない空気感が世間の風潮としてあって、

難しい局面の中(心境の中)
それでも、数々の大会が中止になる中で、出れることに感謝して、東京オリンピックの最後の1枠をかけた、男たちの熱きレース!!

応援は、自粛でしたが、駆けつけてくれた仲間もいて、応援をチカラに変えて、

いろんな思いが交錯しながら、

いよいよ!今シーズン最後のレース


今回のテーマは、「昨年の自分を超えろ!そして、笑顔で走り切る」

目標は、2時間23分30秒(27分以内)
自己ベスト更新!!

と、これくらいは?
いけるだろうと目標を掲げて、

スタート位置へ
雨が降っていてめちゃくちゃ寒い
昨年とは違う意味で震えているではないか。

そして、見渡す限り、速いランナーばかりだけども、昨年との違いは、「ここにいていいのか?」という浮ついた昔の自分はいなく、全く臆することない自分がここにいて、「かなり成長したんだ!」と直前になって、武者震いがするくらい、落ち着いて、またも頼もしい自分がいたんです。

「ヤバイ、早く走りてぇ〜」

30秒前…

ありがとう、応援にきてくれたたみんな。

10秒前…

ありがとう、自分と仲間。

たくさんのありがとうが、この数秒間で溢れてくる…

さぁ、始まる42.195キロの旅路!!

「オンユアマーク?」

と、スタンバイする!
さぁ、落ち着いて、深呼吸!
やるぞー!!と心の中で呟き、気合を入れて、全神経をスタートの号砲に集中!!

始まる、はじまるぞ〜!!


張り詰めた緊張感と静寂の中…

うん?
あれ、あれ、あれれぇ〜
なにやら、おかしいぞ(・Д・)

ざわついてる…
なんと!?ピストルが不発って、フリーズしてる…

いやでも、「いつ鳴るのか?」
さっ、寒い、寒すぎる、早くスタートさせてくれ!!
説明がないまま3分くらい時間だけが経過…

まさかの、スタートのトラブル…
いやぁ、正直これには参りました。
(せめて、説明を早くしてほしかった。)

そして、予定より10分遅れて9時25分に再スタート!!

高鳴る胸と希望を胸に、

俺たちのびわ湖毎日マラソンが始まった。


土砂降りの雨の中、熱き男たちのレースが始まった。

スタートトラブル、そして、降り頻る雨…

出鼻を挫かれ、スタートとしてはこれ以上ないくらい?最悪の始まりだ。苦笑

「これから42.195キロ大丈夫なのか?」

という一瞬の不安は、よぎったが、走り出せば、すぐに消えて、レースに集中していく

皇子山の競技場を周回しながら、いつもより、少ないスタンドの歓声をみて、はっきりと聞こえてくる仲間の声。

昨年は、真っ白の世界が広がり夢の中を走っていた。

そして、皇子山陸上競技場を後にして、「さぁー、また、ここに戻ってくるんだ!」という強い気持ちをもってロードへ飛び出していく

なぜなら、この大会は、関門が厳しいのもあって、
「出場する」というのと同時に「完走をする」というのも一つ目標になってくる。

もちろん、それ以上の目標はあるとして、

ただ、自分のレースをする。

目標もあるが、やはり最低限は完走をしたい。
そして、最初から最後まで、笑ってゴールをする!

降り頻る雨は止まない、路面は滑りやすくなってて、足元を気にしながらの走行、身体は冷えて動きが悪い…

最初の1キロの入りは、プランでは3分20秒と抑えて入ると決めて3分19秒。ペースはうまくコントロールできて、かなり落ち着いてる。

周りの選手を見ながら、走る余裕は昨年とは大違いで、

「大辻さん?」と声をかえてきた、ライバルの吉田選手と少しだけ並走、笑

5キロ16分59秒で通過
集団を見つけて走ってたが、抑えて走ったというより数字と走りが合わず、予定を10秒くらいオーバー

この集団を引っ張るのは、練習会でも切磋琢磨してるGRIabの寺井選手だ。
そして、その後方にQちゃんもいて、なんとも頼もしく練習会の時を思い出して走れることができる。

川西選手は、もっと後ろか、
そして、前の集団に、ミスターびわ湖の下村選手もいる。

やはり、こういうのも滋賀県の仲間が同じ舞台にいるというアドバンテージ(勇気)になる。

「誰がどこにいて、どういう気持ちで走ってるんだろうか?」と戦況を伺う気持ちの余裕がある。

それでも、まだ動きが良くない、いや、寒さからか…

そして、6キロの最初のスペシャルドリンクへ。

あれ?ヤバイ、全然、自分のがわからない…
(最初だから次は必ず!と心の声)

2回目の出場ということもあり、疾走感の中にある見たことのあるレースでの景色。

それでも、地元の見慣れた景色ではあるものの、車で走る事しかできないコースだからこその、パノラマが広がっていく

この大通りを走れるのは選ばれしランナーのみ。

そして、その中に、仲間の勇姿をみて、なんだか同じ舞台で走ってることが楽しくてたまらなくなる。

デジャブ?なのか、いや、昨年の記憶の断片が一つ一つ蘇りながらも、昨年は、夢の舞台として初出場で、余裕がなく真っ白な世界とモノクロの描写で、フワフワした感覚とは違い、もう映像が明確に先に飛び込んできて、

一つの形として、彩られていく・・・

全く逆の映像を感じながら、あーっという間に10キロ関門を突破!!予定より20秒くらい遅い。汗

11キロの給水地点
今度は、ジェルがついてるので、それが視界に入り、なんとかギリギリ取れた。「次とれるのか?」と不安がよぎる…

唐橋の応援スポットで、「自粛を控えてください」というにも関わらず、数えきれない沿道の人。
そして、仲間の応援が目に入り、グッと感極まる…
それでも、笑顔で走り切る。

まだまだ序盤で余裕はあり、やっと悴んでたカラダが動き始めて15キロという一つの大きな関門(52分以内)を51分でクリア!!

ペースは悪くないものの、当初の予定より40秒くらい遅れているではないか。汗

16キロの給水
スペシャルが全くわからず…通過。
ヤバイ次も取れないんじゃないか…

雨の中、沿道には応援の声。
本当にありがとう。

20キロの給水
ジェル付きの給水もわからない…

そして、中間点のハーフを通過71分58秒
50秒くらい遅れてる…昨年とほぼ同じペースを刻んでるが、昨年よりも少し遅い。

前半戦があーっという間に終わり、後半戦がいよいよ始まる。

うまくいったことより、スペシャルが取れないことを確実に引きずっているし、上がらないペースと遅れがあることも、とりあえずリセットして、後半戦へ。

動きは良くもないし、悪くもないけど、大阪や丸亀の時と比べたら、しっかり準備はしたものの、その時よりはよくない感覚。
なかなか調整は難しいと走りながら、

「余計なことは考えないでおこう」って思いつつ、「次もスペシャル取れないんじゃ?」とか。いろんなネガティブなことを考えてしまう。

そんな中、自分が想像してた以上に、「琵琶湖マンー!」「大辻ー!!」という沿道の数々の声。

で、ハッと気付かされることがあって、奈落の底に落ちてしまうんじゃないか?と踏み止まる一歩があり、応援に助けられる。

流石にここは地元だ。
応援の数が凄い!と昨年よりは、沿道の数は少なく、ほとんどの方が来れないという連絡があって、残念な気持ちだったけれども、

自粛というこの状況が、本当になんとも言えない感じでしたが、レースに出させてもらってることに感謝して、走り抜ける一歩、一歩。

昨年の自分の走ってる記憶と今走ってる自分が抜きつ抜かれつのレースをしてるようにフラッシュバックする、笑

応援がチカラになり、そして、「それに応える走りをしたい。」と自分を鼓舞する。

応援には、「ありがとう!」とそして一歩届かなかった仲間には、「来年待ってるから!」と、声をかけて、笑顔で駆け抜けた。

ここは、行動と背中で見せるしかない!!

25キロを通過
目標のタイムより、かなり遅れてる、もう時計は気にしない。
そして、上半身というより、下半身に少し重たさを感じてくる。

スペシャルがとりたい。。。
26キロの給水もわからない…
気づいてとれないのは仕方ないが、??わからないというヒステリックな気持ちで、精神的なストレスが襲いかかってくる。

ここにきて、明らかに脚色の違う、滋賀県出身の東京在住のライバルの藤田選手にも抜かれていく

「まだ、これから!大丈夫!」と問いかける。

そして最大の30キロの関門の平津峠へ。

ここで、滋賀県のランナーの小澤選手と並走して、お互い声を掛け合いながら、元気をもらいなんとか峠を越えるも、 

30キロのジェル付きのスペシャルもとれない。
そして、先行していた一番キツいところで寺井選手にさされる。苦笑

くそーーーっ
スペシャルだけで、一つ1000円くらいかかってるのにぃーって、変な損失の計算だけは速い…
そして、メッセージ書いてもらったのにぃー!と申し訳ない気持ちになる。。。

でも、細かいことを気にしてはダメだ、気持ちの切り替えが大事。

マラソンは気持ちが本当にレースを左右する。わかってても弱さが見え隠れする、だから、マラソンは面白い。

残り12キロ!!

唐橋の大声援でチカラを貰って、残り10キロ…

「応援には来ない」って言ってた友達がいたのに、駆けつけてくれて、なんだか、笑顔なのに、嬉しくて半泣きになってる自分がいる…

まるで、この表情は、狐の嫁入りといった変な顔だ、笑笑

ここから、山からの向かい風の戦いが始まる。
変な顔を元に戻して、気持ちを引き締めていく

終盤戦のびわ湖毎日マラソンの最大の山場であり、魅力?でもある、びわこ風が立ちはだかる。

「もう吹かないでくれよ。」
と、心底怯えながら、前半は恩恵を受けてるから、立ち向かえ!立ち向かうしかない。と割り切った葛藤とスタミナを気にする自分がいる。

「俺はやれんのか!?戦えるのか?」って、少し息が上がった身体を庇うかのように問いかける。

前半より後半の方が、身体的にも、気象的にもキツくなってくる。

体力は、まだあるものの、残り7キロ。

両足の脹脛が今にもつりそうな感じで、庇いながら走る…

いやぁ、なんだこのフォームは!?笑

まだ、スタミナとメンタル面は、自分が思ってた以上に、余裕があるのに、なんとも出しきれない走り。

「これがマラソンだ。チクショー」

蓄積してきた疲労とのマッチメイク!

the 正念場!!
それでも、俺は笑顔だ。ここを楽しむんだ。

ここを楽しめないで、マラソンなんて出来ねーよ。

寒さも多少あるだろうが、スペシャルがとれなかったというのもあって、脚にきてるのもある…

…が、根本的に自分の弱さを肌で感じながら、マラソンは35キロからが本当にキツい

こんな時だからこそ、自分のやってきたこと信じたい。

そんな時に、あるはずのない声が…

「大辻イケーーーーーーーー!!」
と沿道からは見当たらない、京阪電車からの仲間の大声を背に、

向かい風に心が折れそうなときに、

なんとか踏ん張りながら前を追いかけた。

「みんな、聞こえたぜ!」応援の力、最高かよ。ありがとう。とペースアップ?

これが夢の舞台、帰ってきた。こんなもんじゃない。365日、現在進行形…
1秒1秒と前へ進む一歩が、ゴールに確実に近づいていく

「スタートからの走り出しで、あとゴールまで行けたら?どんだけ楽なんだろう?」って思うこともどこか懐かしさを感じる、笑

俺?笑ってる、キツい場面、めちゃくちゃ楽しんでるじゃないか!笑

ここにかけてきてんだ。

1年間の想いを全身を使いながら、走っていく。

前半よりペースが遅くなったのもあり、なんとか
最後の36キロのスペシャルだけ取れて、

自分のペースは、思ってるより落ちてない、その証拠に、落ちてくる選手、リタイアする選手、立ち止まってる選手が目の前に現れては、追いかけて、追い抜いては、それでも、また、恐怖が襲いかかってくる。

「自分は大丈夫なんだろうか?」

雨と向かい風がゴールにに近づくにつれて強くなったのか?自分が弱くなっていくのか?
わからない錯覚の中を、脚がつっては、ピクピクした状態を繰り返していく

限界は近いんだろうか…

果たしてゴールに辿り着くことができるのだろうか!?

ラスト5キロ!!

いよいよ、俺たちのびわ湖毎日マラソン、男たちの熱きレースのクライマックスへのカウントダウンが始まった。





「ラスト5キロ!最後は笑顔で走りきれ!」


ここで終わるわけにはいかねぇんだよ。


もう5キロ?まだ5キロ?

なんでだろう…
"もう5キロしかない"
って思う、たったの5キロ。

あと、5キロで終わっちゃうんだよ




「ここまできたんだ。」
と、スタートから想いを込めて走ってきたら、無の状態から、コースで見覚えのあるシーンをみて、一気に2年分の思いがたくさんの珠繋ぎに記憶が蘇っていく

「ヤバイ、笑顔で走るんじゃないの?」
と、最後の最後に目頭が熱くなってくる。

泣いてない、でも、笑顔ではない。

特別な大会、特別な想い、特別な感情がそこにはある。

泣くもんか。そう、1年前にゴールで号泣して、何目できなかった自分の弱さを痛感した初出場…

「強くなって帰ってくる」

そう決めて、俺はここまでやってきたんです。

だから、最後は、笑ってゴールをするって、1年前の自分と約束したんです、、、。

だから、だからね。
あと、もう少し、あともう少し

1年前の俺、ホンマにありがとう。お前がいたからここまでやってこれた。

愛してくれて、ありがとう。

ただ、この感情の刹那、それを嘲笑うかのようなダメージが襲いかかってくる。

足を庇いながら、キョンシーのような走りで、次第に、息遣いが荒くなる…

まだ、終わってない、ゴールはしていない。

「俺は、何をやってんだ。」
カラダは動く、ココロは折れてない。

レースでね、練習してきたことを証明することも、その反面で脹脛がつってる弱さが露呈しても、

もう、恐れる事はない。

でも、やっぱ悔しい、「なんでだよチクショー」これがなかったらラストスパートあげれると思うと悔しさがこみ上げてくる。まだまだ俺は弱い…

身体に重さはあるものの、マラソンの最後の全く動かない状態には陥っていない。

でも、これが現実なんだ。

ここは一つ成長したけれど、昨年の自分は全てを出し切った感じだった。

このまま、終わるのか、終わらせるのか。

はやく終わってくれ、はやくゴールがしたい自分と終わらせたくない自分。

ここにきて、なんでなんだ?
この苦しさが続くより、それ以上に楽しさが上回ってきてるからなのか?

最後の局面で、びわ湖毎日マラソンを心の底から楽しんでるではないか。

「どれだけ余裕があるんだろうか?いや、もう限界なのだろうか?」




「なんか、うおおおおおおー!!」
って叫んで鼓舞してるヤバい奴がいる、笑


ここにかけてきたんだ。

この相反する両者の言い分は平行線を辿りながら、世にも奇妙な物語の主人公じゃないけれど、そんな時間だけが過ぎていく

残り4キロ…
そして、残り3キロとゴールへのカウントダウンが始まる。

みんなが思ってる以上に、今までにない間隔の長い、長すぎる?たった1キロのカウント。

そして、昨年は、長く感じた42.195キロとは違い、いろんなドラマがあって、いろんな登場人物はいたけれど、

今年、2回目でコースを知ってるのもあって、あーーーっという間に過ぎていく、もうすぐ終わるよ。

ラスト2キロ!!

基本的なことだけど、腕を振って、しっかり呼吸を吸って吐いて、お手本通りのマニュアルで40キロ地点へ

前方に、GRIabのえびちゃんと寺井選手がすぐそこにいるではないか、そして、滋賀県出身の沖選手もいる!追いつけるぞ!

と思った矢先…


ピクピクしてた脹脛がピリッとつり始めて、一気にスピードダウン…
キョンシーがベビーキョンシーになる瞬間…
(えっ、強くなってる?)

ゴールの前に、勝負は決してしまった。

ラスト1キロ…
とにかくゆっくりでも完走しなきゃ!


いつものストライド走法ではなく、なす術なく、ピッチ走法になり、動きの小さなフォームで、足がつらないように走るのがいっぱい、いっぱいで、

いつ止まるかわからない緊張感とゴールへのエンドロールが始まろうとしてる。


降り頻る雨。
ビショビショになりながらも、歩んできた道のり。


やっと、競技場が見えてきた。


ゲートに入る前、誰かに撮ってもらった写真では、笑っていた。でも、ここの記憶が全くない。自然と楽しんでいたのか。全く覚えてない。必死だ。





競技場で、ゴールを出迎える仲間が大声でこちらに向かって叫んでるのに、

全然、聞こえない。

辺りは静寂の空間の中を潜り抜けるかのように、

聞こえてるんだけど、聞こえてない状態ってわかるかな?(理解してもらえないかもしれない)

スタートした時に、

"絶対にここに戻ってくる"
と意気込んだ自分とゴール前の自分が重なり合って、目指すゴールは、




ラスト競技場の600メートルを残すのみ。

手を握る拳の力は弱く、庇う脚に力は入らない。

ボロボロになりながら、

「ほんとうに、俺は、なんてダサいんだ。」
と、ここまできて思えてきて、

鳴り止まない声援と鳴り止まない胸の鼓動と、無理やり身体を動かし気遣う息遣い。



そして、ゴールに向けた眼差し

「苦しい…キツい…それでも、信じろ」って、

これまでに、そんな言葉をどれだけ投げかけてきたんだろうか?

ラストの直線!!
険しい顔を作ることすらできない、疲れ切った表情…





ラストスパート!!
必死で歯を食いしばり腕を振る。


ゴールまで、数十メートル


静寂の中、俺のびわ湖毎日マラソンが終わる。

…えっ?

「最後は笑え」
って、どこからか、誰かの声が囁いた。



この瞬間…

俺は、多分、笑いながらゴールしたんだと思う。




42.195キロのゴールテープをきって、

応援にきてくれた仲間。
そして、走りきった自分、ボランティアの皆さん、

全ての方に、感謝を込めて、「ありがとう」って、お辞儀をした。

そして、「最後は笑え」と、どこからか聞こえてきた昨年の自分の声。

昨年と今年も含めて2年連続2回目の完走をしたことに、もう一度、深く2回目のお辞儀をした。

「ありがとう。」

苦しくも楽しい7回目のフルマラソンと2回目のびわ湖毎日マラソンを笑顔で走り切ることができた。



ゴールタイムは、2時間28分54秒(125位)

昨年より、約5分短縮のコースベスト(セカンドベスト)と結果は決して悪くはないが、目標にしていた記録には大きく及ばず…

最低限の目標は達成できた安堵な気持ち、やってきた誇らしさとそれと同時に、最高の目標に届かずという悔しさが残るカタチになった。

この悔しさを忘れずに、まだまだ、上を目指していきたい。

また、強くなって帰ってきたい。


これにて、

俺のびわ湖毎日マラソン2020は終わった…


ただ、この物語には続きがある。

「俺たちの?」

びわ湖毎日マラソンは終わっていない。


俺たちのびわ湖毎日マラソンへと続く・・・




いや、もうこのパターンは良い?笑


そして、数分後…

ライバルであり、切磋琢磨してきた仲間(Qちゃん)が競技場に入ってきた。  

必死の形相で、腕を振り、もう出し切ってる。

そこに言葉はいらなかったかもしれない。

「練習を思い出せ!ラストファイト!」
何を言ったかはっきり覚えてないけれど、こんな言葉もいらないだろうし、

がんばって出し切ってる選手に、「がんばれ」って言葉が適切なのか、なんて言葉をかけて応援したらいいのかさえわからんかった。

もういい、それでいい…

それでも応えようと懸命に走ってる


その姿をみて、猛烈に感動している自分がいた。


昨年の自分を客観的にみるかのように、降り頻る雨の中を、最後の力を振り絞って、走る仲間の姿…

震えながら、感動でいっぱいになった。

笑顔でゴールを迎えるはず…が。





ゴールの瞬間。
感極まって、泣き崩れる姿をみて、

2年前に、二人で出場すると決めて目指した夢の舞台!!

昨年の悔しい思いや、練習を始めた頃の思い

夢が叶う瞬間…

ただ、ただ、震えた。
いろんなことが走馬灯のように、フラッシュバックして、


健闘を称え合うように、彼と握手とハグをした。





そして、涙でぐちゃぐちゃになった顔で




「完走できてよかった。なっちゃんありがとう。」




この一言で、あかん、あかん…
チクショー、馬鹿野郎ー!!


涙腺が崩壊。。。
込み上げてきたもので目頭が熱くなり、自然と頬を伝って溢れた感情が流れていく

ただ、雨の中、呆然と立ち尽くしながら、


「馬鹿野郎ー!泣いてないから」
って心の中で叫んだ。笑




そして、初出場の川西選手がゴール。

「お疲れ様でした。」
と声をかけに行こうと思ったら、



「泣いていた。」


初出場、いろんな重圧を背負って、この悪条件の中を乗り越えて、堂々と走り切った姿。


思わず、貰い泣き…



みんな、よくがんばった。



俺たちの目指したゴールの果てに


「走ること」
ってこんなに素晴らしいことなんだ、走ることを選んで、今日まで走ってきて、


ほんとうに、ほんとうに


「良かった」

という言葉でいっぱいになって、広がっていく景色。 





その感動の渦の中に、ここまで辿り着けないと見れない山頂からの景色のような達成感に包まれ、しばらく感動して震えていた。




「感動をありがとう。」




俺たちのびわ湖毎日マラソンは、終わった。


夢の舞台の一つの物語は終わり、そして、終わりがあれば、始まる次の物語に向けて、


「走れ!!」





序章編、レース編(前後)、完結編と、長文を読んでいただきありがとうございました。この物語は、ノンフィクションであります。

the Movie
https://youtu.be/RICPlGTJo-0


そして、この物語は、Road to びわ湖毎日マラソン2021へと続く・・・