私には忘れられない撮影会があります。

 

あれはまだ私がお肌もピチピチの20歳そこそこの頃です。

その日私は脱毛に向かうため、大通りを歩いていました。

ふと前を見ると、田舎には珍しくめちゃくちゃスカートの短い派手なギャルが向こうから歩いてきました。

 

顔も分かるぐらいに近づいたとき「こんにちは~」と声を掛けられました。

 

そこにいたのはめちゃくちゃ短いスカートを履いたおじさんでした。

 


 

 


「こんにちは~」

昔から愛想のよさで定評のある私は、どうみても怪しいおじさんに笑顔で答えました。

 

「すみません、ちょっと写真を撮ってほしいんですけど、、」おじさんはガラケーを差し出しながら言いました。


そうかそうか、ちょっと変な格好してるけど、観光で来たのか。


後ろはただ車が走っているだけの大通りでしたが、頭のネジが飛んでいる私は納得しました。

 

「じゃあ撮りますねー!」

走っている車をバックに何枚か写真を撮りました。

 

「あの、、ちょっと恥ずかしいんですけど、これもお願いします」

 

おずおずと後ろを向いたおじさんはスカートをめくり、おしりをクイッと上げました。

パンツも何もないただのおしりが丸出しでそこにありました。

 

「大丈夫ですよー!」

 

何が大丈夫なのかさっぱり分かりませんが、カメラマンの火が付いた当時の私はおじさんのおしりもそのまま撮影しました。

 

「あの、、じゃあこっちも、、アップで、、、」

 

おしりを撮ってもらえて気を良くした変質者は前の姿も撮ってくれとお願いしてきました。

 

、、え? アップ??

 

そのころからスマホを使っていた私はガラケーのカメラでアップにする方法をすっかり忘れてしまっていました。

仕方がないので、ガラケーを持ったままおじさんに近づき、しゃがみ込んでカメラを近づけて撮影しました。

ガラケーを外すと、顔の目の前に、おじさんのブツが。

 

あ!これ!怪しい人や!!

やばい!今日かわいい下着でもない!!逃げよう!!!

 

気付くのが遅すぎた気もしますが、持ち合わせていた1㎜ほどの危機管理能力で、予約していたサロンに逃げ込みました。

 

興奮したまま、脱毛をしてくれるお姉さんに今あったことを話しました。

脇を見せつけながら話す行為はある意味おじさんと大差ない気もしますが、お姉さんが笑ってくれたことで、「あ、ウケた!」と喜ぶ私はやはり関西人なようです。