父が入院してからずっとアルコールを断ち
寝る時も携帯電話と着替えを枕元に置いて
いつ病院から呼び出しがあっても
駆けつけられるようにしていた

面会に行くと
父のモニターのアラームだけが
鳴り響いていて
生命の危機から脱していないことがわかる
父は主治医に「積極的な治療はしないでよい」
「もう十分生きたし後悔はないから」と
伝えたと言われた
これを聞いてずっと我慢していたけど
この日は面会中子供のように大泣きしてしまった
泣きながら
お父さんのことばかり考えてしまい
仕事も手につかないと話すと
父は「(仕事を)間違えないでくれよ」と
冗談ぽく言い
続けて「親が死ぬということは自然なこと
今まで通り明るく生きていってほしい」と言った
私はますます大泣きして困らせた
すると父は遠くを見て
何かを考えるような顔をした
面会から帰る時
はじめて父の手を握った
「また来るね」