龍馬伝 第十七回『怪物、容堂』を観る | (不肖)大河ドラマ批評家「一大河」の批評レポート

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つづっていきます。

龍馬伝 第十七回『怪物、容堂』

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山内容堂公




◎登場人物/キャスト

坂本龍馬(福山雅治) …土佐の脱藩浪士。

武市半平太(大森南朋) …龍馬の友人。土佐勤王党を率いる。

岡田以蔵(佐藤健) …土佐勤王党の党員。人斬り以蔵。

千葉定吉(里見浩太朗) …千葉道場の道場主。

千葉重太郎(渡辺いっけい) …千葉道場の師範。

千葉佐那(貫地谷しほり) …定吉の娘。龍馬を慕う。

勝麟太郎(武田鉄矢) …のちに勝海舟と名乗る。幕府の軍艦奉行並。

ジョン万次郎(トータス松本) …アメリカに漂流した後帰国。英語の普及に尽力する。

三条実美(池内万作) …攘夷派の公家。

山内容堂(近藤正臣) …第十五代土佐藩主。




「よお知っちゅうのう… まるで土佐もんのようじゃ!!」
(山内容堂)



【あらすじ】
勝麟太郎の弟子となった龍馬は、咸臨丸に乗船する。
同乗していたジョン万次郎からアメリカの大統領制の
話を聞き、アメリカは世界一の大国と成るであろうとも
教わる。


は神戸に海軍塾を開き、日本の海軍を作ろうと
計画していた。
龍馬を連れて各藩の屋敷を訪ね、海軍塾への
人材提供を依頼して回る。


ある日、龍馬を連れて山内容堂の屋敷を訪ね、
海軍塾の人材を土佐藩からも出して欲しいと依頼。
さらには、土佐を脱藩した者の免罪までも願い出る。


容堂は、人材提供の話は了承するも、脱藩の罪に
関しては一切許さなかった。


に同伴していた龍馬は、初めて目の当たりにする
土佐の大殿様に底知れぬ恐ろしさを感じていた。



【レビュー】
今回は龍馬の弟子入り、龍馬と容堂公の
初対面、以蔵の苦悩、佐那と龍馬の別れなど、
ちょっとお話詰め込みすぎなくらいな印象で
ありました。
創作のエピソードが多いのも特徴ですね。


その中で、特に特に注目すべきは、
近藤正臣の叔父御が演ずる、第十五代
土佐藩主、山内容堂公
でありましょう。


『太平記』ファンにはたまらない、
武田鉄矢先生と近藤正臣の叔父御の
共演
も見所であります。


この容堂公、他のお話が霞んでしまうほどに
強烈な印象を、視聴者のお歴々に与えた
ことでしょう。


史実の容堂公は、この頃であれば三十代と
若い藩主であった
のですが、『龍馬伝』では
白髪の老人
として描かれています。


一大河は、むしろその方が容堂公の持つ
「底しれぬ恐ろしさ」を表現できたと
思う
のですね。
30代くらいの若手俳優さんでは、残念ながら
近藤正臣の叔父御のような強烈な印象は残せ
なかったのでは、と。


特に印象深かったのは、勝先生が容堂公と
酒を酌み交わしながら、海軍創設の話、
そして脱藩者の免罪(龍馬のこと)を乞う
のですが、この時の容堂公、勝先生の後ろに
控える龍馬の目線でシーンが進んでいく
のですね。


勝先生が脱藩者の話を切り出した途端、
カメラは容堂公の顔のアップを映すのですが、
これが本当に腹に一物もニ物も抱えているような
底しれぬ恐ろしさ
を感じさせるわけです。


「目」だけで演技ができる正臣公、本当に
おっそろしいお方であります。
実際、土佐のヒエラルキーの最上段に座る大殿様、
その姿は龍馬の目にはどう映った
のでしょうか。


その後、以蔵のちょっとした恋人とのエピソードや、
龍馬とお佐那様の最後の立ち合いのエピソードが
展開します。
龍馬は日本を守る志を立て、大坂に向かう船に乗り
込むのですが、そこには一抹の不安が…


さすが龍馬伝チームとでも申しましょうか。
そうすんなりとは終わらせてくれません。
話の最後の最後に容堂公のシーンを持ってくるんですね。
感動的なシーンをも飲み込む容堂公の「底しれぬ恐ろしさ」
まさに『怪物、容堂』の回にふさわしいラストです。


「土佐ではのぉ、下士は犬猫同然ながじゃ」

「下士の分際で藩を動かそうなど虫酸が走る!」

「口ではわしのためと言いながら、武市はわしの支えじゃった
吉田東洋を闇討ちにしたがじゃ」

「そんな輩を、許してもえいと思うかぁ、おんし!」


この質問を勝先生の後ろに控えていた龍馬に
投げかけるのですが、それに答えた龍馬に対し、
冒頭の台詞を投げかけるわけです。


まっこと、容堂公は恐ろしい男ながです。
近藤正臣公の怪演に拍手、拍手であります。
そしてこの後、容堂公による土佐勤王党の弾圧が
始まるのです。


「上り坂もここまでじゃ… 武市」



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