個展「2020年の挑戦」 | ゲゲゲの藝術学

個展「2020年の挑戦」

個展「2020年の挑戦」が本日より木之庄企畫にて始まります。

 

 

2011年より制作を始めた「怪人シリーズ」を集めた旧作展です。

 

「怪人シリーズ」は3.11の震災を経験したことで生まれた作品群です。当時、車を運転中にラジオから流れてきた震災関連のニュース(津波の被害や原発の状況など)を聴いているうちに、それまでの日常から切断され、急に自分が幼少期に見たウルトラQの世界に引きずり込まれたかのような錯覚に陥ったことが、制作のきっかけとなりました。

 

昔の人が人知を超えた力を前にして、それに形を与え、神様や精霊、または悪霊として祭ったり、恐れたりしたように、僕は震災によって起こった様々な出来事をそのようにして乗り越えようとしたんだと思います。

 

今回、展示のタイトルをウルトラQ 第19話の「2020年の挑戦」から採りました。

劇中には未来からやってきたケムール人という怪人が出てきます。彼らは驚異的な科学力により様々な医療技術を駆使して500歳とも言われる長寿を得ますが、肉体自体の衰えには勝てず、若い肉体を求め地球にやってきます。

 

戦後、驚異的な繁栄を手にしジャパンアズナンバーワンと言われた日本。

しかし少子化によりうまく社会の代謝が行われていないことで、様々な弊害が出ている今の現状となんだか話が被るような気がしました。

今や日本はケムール人そのものになってしまったのかもしれない。そんなことをふと想いました。

オリンピックを控え、ケムール人となった日本はどのように2020年を乗り越えていくのか。

現状の日本にとって、宿題のようなタイトルだな、とも思いました。

 

放送当時には遥か遠い未来として2020年は語られていたと思いますが、それも今や残すところわずか2年。

 

僕の未来は明るいのか、それとも暗いのか。

今までのこと、これからのこと、過去と未来への期待と不安を込めて、「2020年の挑戦」を個展のタイトルに選びました。

 

震災から7年。長いようであっという間でした。それでもやっぱり遠くまで来た感じがします。

日々は一日一日過ぎていって、何も変わっていなようで、でも少しずつ変わっていく。その積み重ねの中で僕は何を得たんだろう、また何を失ったんだろう。

震災からこれまでを振り返る良い機会になれば良いなと、個人的には思います。

 

皆様是非足をお運び頂けますよう何卒よろしくお願いいたします。

 

会期は6/29(金)ー7/13(金) ※土日祝日休廊です。ご注意ください。

11:00 open ー19:00 close

 オープニングレセプションに限り6/30(土)17:00ー19:00 開廊しています。