経営において、「目的」と「目標」はどちらも非常に重要な概念です。しかし、経営者が日常的に使用する言葉にもかかわらず、この2つの違いが理解できていない場合が多く、混同が生じてしまっているのが現状です。

目的とは、文字通り「目」で見える「的」のことを言います。「的」という言葉を使用するだけあって、「目的」は最終的に到達したいことを指します。目標とは、「目」で見える「標」であり、「目」で見た時に、その「的」に近づいているかの「標」となるのが「目標」です。目的という最終的なゴールに向けて、その間に設定される指標のことを指します。

つまり、「目的」というゴールがあり、それに到達するまでの過程に立てられるものが「目標」となります。そのため目的は長期的なもの、目標は短期的なものとして設定されます。この「目的」と「目標」を合わせたものを経営方針と言います。

「御社の経営方針は?」と尋ねると、理念のような精神的側面な内容一辺倒だったり、経営や仕事に取り組む姿勢に関する話やビジョンを明確にすること、中には売上目標数値を話すなど人によって千差万別です。

さらに、同じ質問を別の日に繰り返すと、同じ人でも答えが異なる場合があります。これは、「目的」と「目標」の違いがわかっていないため、回答が曖昧になってしまうことが原因と考えられます。ランチェスター戦略では、「目的」は1位づくり(カテゴリNo.1になること)「目標」は地域、客層、商品の戦略を設定することとハッキリと定義されています。

特に目標においては、具体的な数値や成果指標を設定し、進捗管理を行うことが重要です。ランチェスター戦略では、市場占有率や従業員一人当たりの粗利益額を数値化し、目標達成度を測定します。

経営理念やビジョンは、経営活動の指針となる重要なものです。しかし、「目的」と「目標」を混同せず明確に定義しない限り、単なるスローガンに留まってしまい経営に活かすことはできません。経営において、「目的」と「目標」を明確に定義することは、経営戦略を策定し実行していくための土台となります。

【戦略眼を、鍛える。】