続いて「改善すべき点」。

まず、今回のゲストであったグレート・ムタ。

ムタという存在は入場でお腹いっぱいになれる選手。

演出を凝ることによって、ムタワールドが完成する。

昔はイリュージョンの瞬間移動で出てきたり、ワイヤーで天井から降りてきたり、回転する花火をバックに出てきたり、魅せてくれた。

もちろん今は新日本の選手ではないし、そこにそんなにお金かけないよ、というのは分かる。

しかし、今回は勿体無かった。

まず、矢野と一緒に入場してきたところ。

矢野を一人先に入場させて、最後に一人でムタは入場するべきだった。

また、龍か何かがステージ上を渦巻き、その中からムタが登場したが、暗くて龍なのかなんなのかが分からなかった。照明の問題だが、それも勿体無い。

また、よかれと思っての演出だろうが、生演奏での「MUTA」もイマイチだった。

原曲の「MUTA」が聞きたかった。絶対にその方が盛り上がった。

WWEのレッスルマニアくらいしか試合をしないアンダーテイカーの演出なんて、これでもか!というくらいやる。

ムタはそういう存在。

だって、正直、試合ではそんな動けないもん。実際に最後の毒霧でおいしいところは持っていったが、コンディションは悪そうだった。だからこそ、入場、勿体無い。

あとは、IWGPに挑戦した内藤。

ファン投票でメインになれなかったIWGP戦。

これは内藤が支持を得れなかったというのは事実としてあるだろう。

それをひっくり返すチャンスではあった。

しかし、ひっくり返すまでは至らなかった。

試合時間は約30分。

この30分、とても長く感じた。

30分の試合でも長く感じない試合というのもある。

しかし、長かった。

これは、内藤に間がありすぎる。一発大技をやってから、次の攻撃に移るまでに若干の間があく。

ドームというのは空間が広い分、観客の反応が遅れて返ってくるらしい。

だからこそ、リズムを作るのは難しいようだ。

反応を待ってすぐに攻撃にいっても、それはすぐではないのかもしれない。もう一拍遅いのかもしれない。

そこがテンポを狂わせているかもしれない。

そんなこと関係なく、自分のリズムを作って、ガンガンいっちゃう選手になると一皮むけるかもしれない。

もしかしたら、内藤も柴田のような選手とやるといいのかもしれないね。覚醒できるかも。

最後に「なるほどねと思った点」

それはグレイシー。

まず、入場時にエントランスムービーにヒクソンやホイスの画像が出せれたのはよかった。

ただ、なぜかグレイシートレインをやらないという抜けている部分もあったが、なんだか妙な緊張感も漂っていて、試合前からオールドファン的には面白かった。

なんというか久々に「しょっぱいのやめて~」と祈ってしまった(笑)。

そして、結果的には道着で絞めてグレイシーが反則負けになった。

試合後には「プロレスのルールを把握していなかった」と抗議した。

これ、実にグレイシーっぽいんだよね。ルールで揉めるのがグレイシーのお家芸。

試合後も揉めるのがグレイシー。

また、入場も普通に考えれば盛り上がる永田&桜庭を後の入場にする。

しかし、グレイシーがあとに入場してきた。

そこも何かを感じる・・・というのは考えすぎか?

でも、決着など全てを含めて「なるほど」だった。

でも、決着は不透明だったけど、それまでの攻防は意外と面白かった。

グレイシーがプロレスに寄った試合をせずに、あくまで柔術の動きに終始していたのが妙な緊張感があってよかった。

ホーレスがでかくて、プロレスのリングに向いているとも感じた。

継続参戦が決まったが、悪くはないと思う。

これからに期待だ。

長々と書いてきたが、裏を読むようなプロレ特有の部分は今の新日本には少なく、とにかくリング上の熱い試合を見てもらうという、純粋なものを楽しむものになってきた。

だからこそ、子供のファンもものすごく多いし、若い女性もものすごく多いし、良い空間が出来上がっている。

ファンは完全に入れ替わったと言われているが、どうだろう。

中には古いファンもたくさんいる。

私の父親は力道山から始まり、猪木信者だが、今の新日本は面白いらしい。

35000人という数をもっともっと増やすには、更なる新規開拓と共にプロレスから遠ざかったファンをもっともっと取り戻す。

そうすると久々にドームにウェーブが生まれるかもしれない。

期待しよう!