3月11日(火)
最近は大通方面にばかり歩いているので、今日は久しぶりにチカホの手前でUターンして、紀伊国屋に行ってきました。
無職なので本は買いません。
強い気持ちで中に入ると、いきなり『SF少女マンガの世界』とかって特集を組んでいる雑誌がある。
表紙も巻頭マンガももちろん萩尾望都。
買ってゆっくり読みたいけれど、買ったら帰って読まない気がするので、泣きながら元に戻す。
入り口からエスカレーターまでの短い距離で、興味を惹かれる本が次々現れる。
それらを振り切って2階へ。
日本語検定の問題集を偵察に来たのだ。
でも2階は専門書が多くて、歴史だ、哲学だ、美術だと見渡す限りの誘惑。
それらを振り切って語学の棚へ行き、辞書や日本語に関するエッセイや、あれこれを散々見た後に日本語検定の問題集を見る。
問題集と言っても、参考書みたいな部分が結構充実しているので、実際に問題を解くよりも、問題の本質を学ぶにはいいかも。
子どもの頃からたくさん本を読んできたので、変な日本語に違和感を覚えることはできるけど、日本語の文法的にどうなのというのはまた違うからね。
でも、まだ買わない。
家にいろんな問題集が、中途半端に手を付けた状態で転がっているので、一つ一つ片付けなければ。
そして何よりも本を買える状況にない。
子どもの頃は、大人になったら欲しいだけ欲しい本を買えるものだと思っていた。
大人になってもなかなか自分の自由なお金は持てなかった。
やっと、自分だけのためにお金が使える身分になったけど、収入がない。
そして、認めたくはないけれども、子ども時代と比べて、圧倒的に本を読む集中力もスピードも衰えた。
買ったところで読めやしない。
手ぶらで本屋を出ようとしたら『ミステリと言う勿れ』の新刊が出ていた。
これは買うよ。もちろん。
ネタバレになるけどいいかな。(タイトルですでにネタバレだが)
この巻でライカさんは消えてしまう。
特にライカさんが好きだったわけではないけれど、ライカさんといる時の整くんが楽しそうで、いつかくる別れはなるべく後に来るといいがと思っていた。
この間のライカさんは今までで一番表情が豊かでね、とにかく楽しそうなの。
それが、別れを覚悟してのものだとわかるから、読んでいてずっと泣きそうだった。
もっと先に延ばすことは…しない。
どこかにライカさんが残っていることは…たぶんない。
だからもう二度と会えない。
だってライカさんがそう決めたんだもの。
アツアツのコロッケを食べるライカさんの楽しそうなこと。
だって病院の食事はいつも冷めているからね。
整くんと、病院の外の世界をたくさん体験して、「わたしは整くんが大好きだからな‼」と言って去っていくライカさんかっこよすぎ。
ライカさんが消えた後の千夜子が「カレー好き」と言うのを聞いて、やっぱりどこかにライカさんは残っているのではと思うと、やっぱり泣きたくなった。
この巻では我路くんの方の事件は全く動きはなかったけれど、ライカさんが「天達先生に気をつけろ」と整くんに言うところと、レン君に「整くんのことよろしく頼む」と言ったことで、天達先生のうさん臭さが際立ってくる。
ライカさんが最後に天達先生に言った言葉も、整くんに残した言葉の意味も、今はわからないけれど、彼女の大きな愛情が、いつかきっとその意味を明らかにしてくれると信じている。
いやあ、書いてて泣きそうだわ。
ライカさんの大きな優しさと、整くんの繊細な優しさ。
千夜子はライカさんのことも整くんのことも知らないから、写真に残すことはできない。
直接キスをすることもできない。しない。
人の心の美しさと桜吹雪の美しさ。
もう、泣くわ。
しばらくこの世界にどっぷりつかることにする。